2024.10.02

CARS

閉じた姿もカッコいい! メルセデス・ベンツの新しいクーペ、CLEカブリオレにモータージャーナリストの高平高輝が試乗!!

メルセデス・ベンツ・ブランドとしては現在唯一のオープントップ・モデル、CLEにブリオレに試乗

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CクラスとEクラスのクーペを統合したCLEに定石通り、開閉式ソフトトップを備えたオープン・モデルが追加された。厳しい夏の暑さに負けず、屋根を開けてその走りを楽しんだ。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

現在唯一のオープントップ・モデル

ええっ、いつの間にそんなことになってしまったのか? と驚いてしまった。CLEクーペに続いてこの6月に導入されたCLEカブリオレは、メルセデス・ベンツ・ブランドとしては現在唯一のオープントップ・モデルであるという。まあ確かに世界的なSUV人気に加えて電動化が進む世の中では(ついでにSLはメルセデスAMGブランドに移管された)、クーペやカブリオレの肩身は狭いはずだが、それにしてもあんなに太陽大好きで、ちょっと前まではCクラスやEクラスだけでなく、Sクラスにも豪勢極まりないカブリオレを揃えていたメルセデスなのに、と驚くばかりだ。

ソフトトップの色は黒のほかに、5万円のオプションで写真の赤とグレーも選べる。

Cクラス・クーペとEクラス・クーペを統合して「CLEクラス」としたクーペ・モデルが先に登場しているが、CLEカブリオレ・スポーツはそのカブリオレ・バージョンである。本国ではディーゼルも6気筒ガソリンも用意されており、近い将来にはプラグイン・ハイブリッドの追加も予定されているが、今のところ日本仕様は2リッターガソリン4気筒ターボ搭載の「CLE200スポーツ」のみとなる。

快適性も抜かりはない

カブリオレの肝は斜め後ろの姿、それも幌を開けても閉じてもカッコいいことだが、その点このCLEカブリオレは申し分ない。ボディ全体に対してキャビン部分が薄くコンパクトで、いかにも伊達でエレガントなプロポーションである。CとEを統合したと言われているが、CLEカブリオレの全長×全幅×全高は4850×1860×1425mm、ホイールベースは2865mm(Cセダンと同一)で全長が10cmほど長いほかはCクラスに近い。



真っ赤な革表皮のシートは90万円のパッケージオプションに含まれている。価格は936万円。

エンジンもCクラス同様、48V駆動のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)付きの2リッター 4気筒ターボで、204ps/320Nmを生み出す。変速機は9段ATの後輪駆動である。車重はクーペより100kgほど重い1900kgもあるが、48Vマイルド・ハイブリッドのアシストのおかげで実用域ではなかなか軽快であり、エンジンそのものもトップエンドまで健康的にスムーズに吹け上がる。エンジン停止/再始動の際にショックを感じさせないこともISG付きの美点だ。



快適性についても抜かりはない。ウィンド・シールド上端から立ち上がるディフレクターと、リア・シート背後から飛び出すディフレクターがオープン時の風の巻き込みを抑え、また首のあたりに温風を吹き出すエアスカーフももちろん装備されている。ただし、乗り心地については優雅に走りたいカブリオレとしてはもう一歩というのが正直な気持ち。このクルマは20インチ・タイヤ(19インチが標準装着)と、ダイナミック・ボディ・コントロールと称する可変ダンパー付きサスペンションからなるオプションのドライバーズ・パッケージを装着していたが(標準でもスポーツ・サスペンション付き)、そのせいか、大きめの不整を越えた際にはタイヤの上下動が抑えきれていないようで、場合によっては揺れ残りも感じられた。お洒落優先のクルマであっても実用性をおろそかにしないのがドイツ流で、後席も小柄な人ならば大人でも緊急用以上の広さを持つ。できれば「スポーツ」ではなく「エレガント」な日本仕様の導入を望みたい。

文=高平高輝 写真=メルセデス・ベンツ日本

(ENGINE2024年11月号)

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