2025.02.22

CARS

満タンで1000km走る注目のスバル・クロストレックのフル・ハイブリッドを冬の青森でテスト モータージャーナリストの高平高輝が試乗

スバル各車の燃費は10km/リッター前後というのが相場だったが、このクロストレックS:HEVだけは明らかに別格。

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クロストレックに加わったフル・ハイブリッド仕様の公道デビューは、豪雪で名高い酸ヶ湯温泉だったが、試乗当日は路面が見える生憎の状況。少ない雪の上で雪上性能を試しつつ、フル・ハイブリッドの実力も確かめた。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

別物のeボクサー

青森のホテルで読んだ地元紙に、青森県の今年度の除雪・排雪費用が追加予算を含めて84億円余りに上る見通しという記事が載っていた(前年度は63億円ほど)。雪国以外に住む人には信じられないほどの金額である。



人口密集地では青森市は世界一の積雪地だが、雪が降ったからといって社会活動を停止するわけにはいかない(不要不急の外出は避けて、というのは都会の話である)。したがって主要道路の素早い除雪は必須であり(街中の裏道には驚くほどの雪が残っていたが)、当然そのコストは大変なものになる。



ところが、年末年始に大雪が降ったと聞いていたから今年はさぞかし、と思って青森に着くと道路にまったく雪はなく、豪雪ニュースでお馴染みの八甲田山麓・酸ヶ湯温泉の駐車場にも舗装路面が露出していたほどである。除雪が行き届いているために、ちょっと好天が続くとこういうこともある。これこそ雪国のリアルである。



スバルはこれまでも自慢の4WD性能をアピールすべく冬季の降雪地域で一般道を用いた試乗会を開催してきた。ただしリアルワールドだから、今回のように思うようにはいかないこともままある。八甲田山遭難事件で知られる田代平方面へ上がってみても、日陰のコーナーにわずかにシャーベット状の雪が残っているだけ。雪国の人には抗議されるだろうが、ちょっとがっかりである。



それはさておき、主役はようやくというか、満を持してクロストレックに追加されたフル・ハイブリッドのS:HEVである。

それまでのeボクサーはモーターの最高出力とトルクが14psと65Nm、リチウムイオン電池の容量が0.6kWhという、いわばマイルド・ハイブリッドで、WLTCモード燃費は15.8km/リッターとはいうものの実用燃費はだいたい10km/リッターがいいところで、純ガソリンのインプレッサと大差なく芳しいものではなかった。



対してS:HEVは駆動用モーターの出力は120psと270Nmというからまさしくけた違い。電池容量は1.1kWhで、さらにエンジンも自然吸気2.5リッター4気筒ボクサーが搭載されており、エンジン単体でも160ps/209 Nm を生み出す(従来型eボクサーの2リッター4気筒は145psと188Nm)。

発電用と駆動用の2基のモーターは電子制御カップリングなどとともに縦置きのトランスミッションに内蔵されている。クロストレックにはFWDモデルも設定されているが、新型S:HEVはスバルらしくプロペラシャフトを持つAWDのみとなる。



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