2025.04.09

CARS

静寂と恐ろしく滑らかな乗り心地、モーターがもたらす瞬発力、しかも女性でも運転しやすい ロールス・ロイス・スペクターに試乗したモータージャーナリストの吉田由美はこう叫ぶ

ロールス・ロイス・スペクター/ロールス・ロイスはずいぶん以前からパワートレインの電動化を模索していたが、ついにそれが市販モデルとして実現したのが2ドア・クーペのスペクターだ。

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今年もやりました2025年版「エンジン・ガイシャ大試乗会」。大磯プリンスホテルの大駐車場に集めた注目の総勢33台の輸入車にモータージャーナリスト33人が試乗! 各メーカーがこの上半期にイチオシするそれぞれのニューモデルに5人のジャーナリストが試乗した、計165本の2025年注目輸入車の試乗記を順次公開。

ロールス・ロイス・スペクターには、生方聡さん、大井貴之さん、斎藤聡さん、菰田潔さん、吉田由美さんが試乗。今回は菰田さん、吉田さんの「ここがスゴイ」リポートをお届けする。

真円のステアリングやエア・アウトレット・ダクトと、水平基調を旨とする造形など、室内のデザインも従来のロールス・ロイスのお約束を踏襲。

「これぞロールス・ロイス」菰田潔

ロールス・ロイスからお呼びがかかりファントムの試作コンバートEVに試乗したのはもう10年以上前だった。

そもそもエンジンの存在を主張するタイプのクルマではないからエンジンなんてなくてもいい。走っているときはその存在を消すかのように静かに仕事をしている。それが電気自動車になっても同じで静々と音もなく走っていくことに変わりはない。だからBEVは必要なのかと疑問が湧いた。

試乗車のインテリアの仕立てはグレース・ホワイトとアーデント・レッドの2トーン。

しかし逆から考えるとエンジン性能を求めてロールス・ロイスを買うユーザーはいないだろう。だからこそ静かでアクセル・ペダルにリニアに反応し低速域から太いトルクを出せる電気モーターはマッチするとも言える。

そして登場したのがBEVのスペクターだ。ファントムの精神を引き継いだのがスペクターと言われているが、パルテノン神殿をモチーフにしたグリル、その上で風を切るスピリット・オブ・エクスタシーはもちろん、手縫いで仕上げた革の内装、振動が伝わらない快適な客室で、これぞロールス・ロイスという世界をとことん楽しめる。



「圧倒的存在感」吉田由美

今年の大試乗会一発目の試乗車がロールス・ロイス初のBEV、スペクターで、思わず眠気も吹っ飛びました(笑)!

この日、最もオーラを放っていたスペクター。堂々たるそのエクステリア・デザインは、ロールスの伝統を継承しつつ、クーペならではの流麗なラインを描き、絶対的な威厳を放っています。

全長×全幅×全高=5475×2017×1573mm。ホイールベース=3210mm。車両重量=2890kg。車両本体価格=4800万円~。

しかし、カラーの効果も高いと感じました。深いピンク・ベージュの“モルガナイト”にガンメタルのルーフという2トーン・カラーはただならぬオーラを放ちまくり。また車内も星降る夜空を映し出す“スターライト・ドア”や、スピリット・オブ・エクスタシーの「翼」を表現した5500個の星が輝く“イルミネイテッド・フェイシア”など、銀河そのもの。

さらに異次元なのはドアを閉めた瞬間からはじまる電動化の世界。静寂と恐ろしく滑らかな乗り心地、2つのモーターがもたらす瞬発力、しかも女性でも運転しやすい。やはりスペクターはただモノではない! 電動化という未来の波を何よりも優美で威厳に満ちた圧倒的存在感のロールス・ロイスです。

■ロールス・ロイス・スペクター
ロールス・ロイスはずいぶん以前からパワートレインの電動化を模索していたが、ついにそれが市販モデルとして実現したのが2ドア・クーペのスペクターだ。前後2つのモーターはそれぞれ前190kWと後360kWの最高出力を、前365Nmと後710Nmの最大トルクを発揮する。0-100km/h加速は4.5秒。一充電航続可能距離は530km(WLTPモード)。全長×全幅×全高=5475×2017×1573mm。ホイールベース=3210mm。車両重量=2890kg。車両本体価格=4800万円~。

写真=小林俊樹/山本佳吾/茂呂幸正

(ENGINE2025年4月号)

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