2025.04.14

CARS

モンテカルロを制したミニからビッグ・クワトロまで ラリー好き垂涎の名車が勢揃い

2025年で10回目を迎えたオートモービルカウンシル。今年の主催者テーマ展示のひとつとして入口近くのスペースを飾ったのが、「THE GOLDEN AGE OF RALLY IN JAPAN」。2024年のラリー・ジャパンや富士スピードウェイに隣接する富士モータースポーツミュージアムにも展示されたジーノ・マカルーゾ財団が所有する6台のワークス・ラリーカーだ。

フィアット・グループ以外の3台

前半では、ジーノ・マカルーゾ氏自らステアリングを握ったフィアットX1/9をはじめ、3台のイタリアン・ラリーカーを紹介したが、今回は登場するのは世界選手権で活躍したイギリスとフランス、ドイツ・メーカーのモデルたちだ。



1966年 BMCミニ・クーパーS

イギリスの奇才アレック・イシゴニス氏の手による傑作モデルの「ミニ」。スペース効率を最大限ともともとすることを目指して造られた元祖ミニは、多くのモータースポーツで活躍することになる。ミニのチューナーとして最初にその名が上がるのは、同じくイギリスのジョン・クーパー氏であろう。ときおりミニとクーパーは同一視され、ミニのことを総じてミニ・クーパーと呼ばれることも多い。ミニが活躍した場は数知れないが、その勇姿が際立ったのがモンテカルロ・ラリーだ。展示車両は1966年のモンテカルロ・ラリー参戦車両で、翌67年に1000湖ラリーで優勝したBMCワークスマシンそのものである。



1981年 ルノー5ターボ

1973年から始まったWRCで最初のマニュファクチャラーズ・チャンピオンとなったのは「A110」で参戦したアルピーヌであった。しかし1974年から80年まで、途中1979年にフォードに奪われるものの、それ以外の年はすべてイタリアのフィアットがマニュファクチャラーズ・チャンピオンを獲得した。WRC初代チャンピオンであるフランス勢の復活を掛けて投入したのが、小型車である「ルノー5」(サンク)のリア・シート部分に1.4リッター直4ターボを搭載したスペシャルメイドのマシン、「5ターボ」である。ルノーは1977年から参戦したF1でターボ・エンジンを採用し、79年のフランス・グランプリで初優勝を遂げるなど、モータースポーツ界ではターボ・エンジンの先駆者であった。この個体は1981年のモンテカルロ・ラリーで優勝したワークスマシン。ドライバーはジャン・ラニョッティ氏であった。なお81年のマニュファクチャラーズ・チャンピオンはフランス勢が獲得したものの、ルノーではなくタルボであった。



1982年 アウディ・クワトロ

今でこそラリーといえば4WDというのが当たり前だが、1970年代は4WDに対する期待度は低かった。4WDとすることで機構が複雑になり、それに伴って信頼性が低下する。重量増によりエンジンやブレーキの負担が大きくなる。このような理由でラリーという競技には不向きとされていた。しかし、それ以上の利点があると判断したのがアウディであった。アウディはセンターデフを使った前後トルク配分システムを開発。「80」のクーペをベースとしたフルタイム4WDモデルの「クワトロ」を開発した。1981年に実戦投入されたアウディ・クワトロはデビュー2戦目で優勝。82年にはマニュファクチャラーズ・チャンピオンを獲得する。展示車は1982年のラリー・サンレモで優勝したマシンそのものである。



文・写真=諸星陽一

(ENGINE WEBオリジナル)

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