今年で10回目を迎えたオートモビル・カウンシルは旧車を軸に自動車文化を伝える展示イベント。トヨタは第1回からオートモビル・カウンシルに参加しており、2024年は「トヨタクルマ文化研究所」と銘打って、社内で進行中の旧車レストアやパーツ供給などを展示した。
歴代スープラも展示トヨタ現在、レストアやパーツ供給活動に加えて、クルマ文化に触れる場づくりや、レストアを通じた人材育成といった、トヨタ・グループ全体で取り組むヘリテージ活動を「TOYOTA CLASSIC」と題して発展させている。今回は。歴代の「スープラ」に加え、初代「セリカ」、1989年の東京モーターショーに出展したコンセプトカーの「4500GT」の5台とともに、その活動についての展示を行った。
初代セリカ・リフトバック/1973年~初代のセリカは1970年のデビュー。デビュー当時のボディは、いわゆる「だるま」と呼ばれる2ドア・クーペのみであった。搭載エンジンは1.4リッター、1.6リッター、1.6リッター・ツインキャブの3種。1973年にはリアにテールゲートを備えた「リフトバック」が登場。LB(エルビー)と呼ばれた。LBには2リッターを設定。このタイミングでクーペにも2リッターが追加されている。1975年には排出ガス規制対策のために大幅な改良が行われボディ・サイズも大型化されている。
初代スープラ/1981年~2代目セリカをベースに6気筒エンジンを搭載した上級モデルとして登場した「スープラ」。日本では最初の2世代が「セリカXX」の名で販売されていたため、日本仕様にスープラというネーミングが掲げられるようになったのは、グローバル・モデルでは3代目にあたる、1981年にデビューしたこのA70型からである。リトラクタブル・ヘッドライトを備えるウェッジシェイプのボディは先代のA60型から引き継いだものの、A60の直線を多用していたのに対し、適度に丸みを帯びたデザインとなっている。搭載エンジンは2リッター直6と3リッター直6でスタートし、のちに3リッターに替わり2.5リッター直6が登場した。
2代目スープラ/1993年~A60型、A70型のデザインとは一線を画する丸みを帯びたデザインとなったのがA80型スープラ。スカイラインGT-Rが復活、NSXも発表されるなど、日本のスポーツカー・マーケットは1989年に大きな転機を迎えていた。トヨタはハイパワー、ハイパフォーマンス・モデルとなるA70型の改良版を送り出していたが、フルモデルチェンジを望む声は多く、A80型はトヨタファンが待ちに待ったモデルとなった。A80スープラで話題となったのが、国産車としては初の6段MTの採用と17インチ・ホイールに対応したフロント対向4ポット、リア対向2ポット・ブレーキの採用であった。6段MTはデビューと同時に採用されたが、低い扁平率タイヤの認可が運輸省から下りなかったため1994年になってからの登場となった。
3代目GRスープラ/2019年~2代目スープラは2002年で生産が終了し、スープラというモデルは絶版となっていた。復活のきっかけとなったのはBMWとの技術提携。新型ではBMWの「Z4」と同じプラットフォームやエンジンを利用してスープラを復活させるという手法が採られた。Z4がオープン・モデルなのに対し、スープラはクローズドのクーペのみとなる。歴代スープラは6気筒エンジンのみを搭載していたが、GRスープラには3リッター直6に加えて、2リッター直4モデルも導入された。展示車は最終限定車の「A90ファイナルエディション」。
4500GT/1989年1989年のフランクフルト・モーターショーでワールドプレミアされたコンセプト・モデル。車名はもちろん名車トヨタ2000GTを意識したもので、トヨタ最高峰のGTモデルを目指し、アウトバーンを300km/hで移動できることをコンセプトに掲げていた。車名からも分かるようにエンジンは4.5リッターである。セルシオなどに採用された4リッターのV8エンジンをベースに排気量をアップ。6600回転で295馬力を発生するという。

文・写真=諸星陽一
(ENGINE WEBオリジナル)