2025.05.20

LIFESTYLE

DIYで靴をハンドメイド! 組合せは280種類 靴の街、神戸で生まれた驚きのシューズ・キット

神戸で靴づくりの教室を運営するハードワーカーから発売されたのが、革靴のDIYキット「フットベッドシリーズ」だ。

全ての画像を見る
日本を代表する靴の街、神戸で生まれたキットは、自分で靴を分解・交換・変身できるユニークさで話題に。季節と気分に合わせて自分だけのカスタマイズを。

靴の街と言えば「神戸」

京都の着倒れ、大阪の食い倒れ、神戸の履き倒れ─「倒れ」とは身代をつぶすほどのめりこむ道楽を揶揄する言葉で、前に置かれた動詞の通り、衣服、食、靴へのこだわりを指す。関西の三都市それぞれの特徴を表しているが、着物文化が培われた京都、江戸時代に食物流通の拠点であった大坂に比べると、神戸に靴が紐づけられるようになった歴史は新しい。

ビブラム製シャークソールにサンダルとブーツのアッパーを載せ替えた状態。ひとつのソールで夏、冬にコンバートできる。

ビブラム製シャークソールにサンダルとブーツのアッパーを載せ替えた状態。ひとつのソールで夏、冬にコンバートできる。

明治の文明化以降、欧米からの寄港地となり、洋装文化と共に革靴が早くから取り入れられた。西洋人が履く靴の修理から製靴技術が発達し、「神戸靴」は高級品の代名詞になったという。

また、阪神淡路大震災で大きなダメージを受け、後に復活した長田地区がケミカルシューズづくりの中心地であることは有名。ちなみに学校での靴事情も特殊で、他府県であれば校舎内は上履きに換えるが、神戸の生徒は靴のまま入る。居留していた外国人の習慣が今も根付いているようだ。

一本のドライバーで別の靴に

その神戸で靴づくりの教室を運営するハードワーカーから発売されたのが、革靴のDIYキット「フットベッドシリーズ」だ。

アッパーレザー、フットベッド(インソール)とアウトソールを片足あたり19本のネジで固定することで手軽にハンドメイド。ブーツ、スニーカー、シューズ&サンダルという3種類のキットを基本に、別売りの各パーツと交換できる。

片足あたり19個の穴にアッパー、フットベッド、ソールをネジで固定。電動ドライバーがおすすめ。

アッパーは色・仕上げ違いで7種、フットベッド4色、ソール10種類もあるので組み合わせは280種類に及ぶ。コーディネートに合わせて変えるのもいいし、夏は涼しくサンダル、冬は暖かくブーツと季節に合わせてコンバートさせるのも一興。

ハードワーカーを主宰する吉田努さんは靴づくりスクールの講師として活動していたが、コロナ禍で対面でのレッスンが難しくなったことから、キットの開発に至った。「自分で分解できますから、メンテナンスも簡単です。手入れをちゃんとすれば革は長く持ちますし、パーツの交換することで長く履けますからサステナブルですよね」(吉田さん)

道楽という言葉はもともと仏教用語で「道を解して楽しむ」の意。そこには単なる放蕩とは違った求道的なニュアンスが漂う。履き倒れの町から生まれたDIYキットは、靴づくりという新しい学びで大人の好奇心を刺激してくれる。

文=酒向充英(KATANA) 写真=杉山節夫

(ENGINE2025年6月号)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement