2025.09.21

CARS

クルマ趣味を完成させる最後の1ピース 仲間が集まる軽井沢のガレージハウスの魅力は、秋田杉の平屋とイタリアン・スポーツカー

終活を始めたら最後に残したいと思っているのが、この3台だとオーナーの剱持さんは言う。

全ての画像を見る
【前後篇の後篇/前篇からの続き】

ガレージには、誰もが憧れるイタリアの名車たちが収まる家。そんなイタリア車を愛し、仲間をもてなし、人生を愉しむ。家主である劔持睦彦さんが手に入れた理想の暮らしとは?

***

前篇【アルファ・ロメオ沼にハマった趣味車11台持ちオーナー 最後に残す3台とは?】では、劔持睦彦さんの11台のコレクションの中で、人生最後に残したい3台を紹介している。

導線も完璧なクルマ趣味人の家

クルマについて理解したところで、今度は家の話題に移ることにした。

「クルマ好きの友だちが集まるのでリビングの椅子は自然と増えちゃいました。私は月に2~3回この家に滞在しますが、そのタイミングで友だちが訪ねてくれるんです。今日もこのあと、アルファ乗りの友人夫妻が東京から来て泊っていくことになっています」

秋田杉を贅沢に使用した長い廊下は圧巻だ。天井に埋め込まれたランプ類など、シンプルさを追求したデザインも美しい。

友人が泊まれるほどの部屋がある? さっそく劔持さんに家の中を案内してもらった。リビングを出ると木製の「壮観な!」廊下が伸びていて、右にはゲストのためのベッドルームがふたつ用意されていた。一番奥には和風の寝室もある。

先ほどは右に住居、左にガレージがあるだけにしか見えなかったのだが、実際の劔持邸は住居部分の奥行きがずいぶんとあるのだ。上から見ると玄関付近を中心として三方向に伸びるような変わったかたちをしていることもわかってきた。

リビングからはガラス越しに愛車を眺められ、ガレージの床には炭を混ぜ込んだコンクリートを使用。

「室内の木材には秋田杉を使用しています。ゲストは最大8人ほど泊まれます。トイレは男女別に設置していますが、大人数での入浴は少し課題ですね。そういう時は、皆で近くの日帰り温泉に足を運んでいます」

ガレージの中と同じように玄関から廊下、そしてリビングまでクルマ関連のアイテムで溢れている劔持邸だが、それでも整然として見えるのは壁にしっかりとした棚があって、ディスプレイされているからだろう。

「この木製の棚は外せるようになっていて、全て私の会社で作ったものです。店舗内装を手掛けているので、こういった造作は専門分野です」

なるほど、家具より棚の方が多いのは理由があってのことだったのである。一方、壁のオートモビリアで興味深かったのはずらりと並べられたお酒の空き瓶だった。よく見ると、なんとアルファ・ロメオの盾が浮き出ている瓶だったのである。

仲間と集うための広々としたリビング。

「アルファ・ロメオのスプマンテですね。昔ずいぶんと集めました」

週末ハウスにアルファ・ロメオ好きの仲間が集まれば、当然のようにクルマの話題は尽きることはなく、日が暮れてくればお酒も入って「だったらウチに泊っていけばいいじゃない!」となるのだろう。

劔持さんは「仲間が自然と集まってくる」「設計はプロにお任せしました」と謙遜しているが、クルマ好きが辿るであろう導線がしっかりと考えられた設計になっている。

クルマ趣味は理想としている1台を手に入れただけで満たされるものではない。ドライビングや愛車とそのブランドに対する知識を磨く必要があるし、相応しいガレージに収めることだって必須といえる。そして充実した趣味車生活を送るための最後の1ピースは、気が置けない仲間の存在なのである。

劔持邸は車庫付きのセカンドハウスというだけに留まらず、仲間が自然と集いたくなるガレージハウスとしても完成している。北軽井沢の森の中にひっそりと建っている瀟洒な平屋は、アルファの沼にはまってしまったクルマ趣味人にとっての、まさに理想郷だったのである。

文=吉田拓生 写真=神村 聖

前篇【アルファ・ロメオ沼にハマった趣味車11台持ちオーナー 最後に残す3台とは?】では、劔持睦彦さんの11台のコレクションの中で、人生最後に残したい3台を紹介している。

(ENGINE2025年8月号)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement