2025.08.08

CARS

全長5m超なのに加速はワープ!ハイブリッド進化のBMW M5ツーリングが日本初上陸

7代目となるBMW M5ツーリング。全長×全幅×全高=5095×1970×1515mm、ホイールベース=3005mm、車重=2490kg。

全ての画像を見る
ドイツ本国では3代目、5代目にもあったが、日本には7代目にして初導入となったBMW M5のツーリング・モデル。その試乗車が用意されたと聞き、さっそく借り出して箱根へ。エンジン編集部の村上がリポートする。

一昔前の7シリーズ並みのボディ

走り始めてまず、ボディが大きくて重いことに戸惑った。地下駐車場のスロープのカーブを上がって行くのにさえ気を使うサイズだ。全長が5m10cm近く、ホイールベースも3mを超えているというのだから、一昔前の7シリーズ並みである。しかも、4. 4リッター V8ツインターボ・エンジンに加えて、電気モーターやバッテリーを搭載するハイブリッドの4WDモデルゆえ、車重が約2.5tもあるときては、果たして、スポーツモデルとしてはどうなのかと、クビを傾げながら試乗をスタートすることになった。


全長×全幅×全高=5095×1970×1515mm、ホイールベース=3005mm、車重=2490kg。4.4リッター V8ツインターボに電気モーターも加えたシステム最高出力は727ps、最大トルクは1000Nmを誇る。8段ATを介して4輪を駆動。
新時代の速さ

電気モーターで発進し、そのまま走ろうと思えば70km近く走れるというのだけれど、ちょっとアクセレレーターを踏むと、いつの間にかエンジンがかかっていた。そして、広々とした道に出て、前が空いたのをいいことに右足に力を込めたところで、今度はまるで巨大な宇宙船がワープするような凄まじい加速に仰天することになったのだ。

この速さは一体なんなんだ。一気にドーンと押し出されるのとは違う。あくまでもスムーズに4輪が無駄なく道路にトラクションを伝えて、スルスルスルスル、ズドーンと加速して行く感じ。電気モーターと珠玉のBMWエンジンの連携プレーによってこそ可能になったのであろう、言葉で表現するのが難しい新時代の速さだ。


路面に張り付いていく

高速道路で箱根へ向かう時の楽チンぶりは特筆ものだった。まず、乗り心地がいい。重量に加えて、エンジンだけで585ps/750Nm、電気モーターを加えたシステム全体では727ps/1000Nmもの出力を受け止めなければならないのだから、決して柔らかい脚であるはずがない。

しかし、どうやらバネを無闇に固めるのではなく、ダンピングでしっかりと動きを抑える方向でセッティングしてあるようで、路面からの外乱にあっても一発でピタッと揺れがおさまるのはもちろん、速度を上げるほどに路面に張り付いていく感覚があるから、乗っていて安心感があって気持ちいいのだ。アウディ・クワトロもかくやの速さと安定感があり、これなら東京から名古屋や京都まで走っても疲れ知らずだと思った。実際に、ドイツではアウトバーンでそういう使われ方をしているに違いない。




電子制御の連携プレー

箱根の山道では、こんなに大きくて重いステーションワゴンが、コーナーの連続でもアゴを出すことなく、スルスルと駆け抜けて行くのに舌を巻いた。電気モーターとエンジン、そして4WDシステムや可変ダンパーとの電子制御による連携プレーが、よほどうまくいっているのだろう。高速道路でそうであったように、常に路面を押さえつけるようにして走ってくれるから山道でも抜群の安定感があり、オン・ザ・レール感覚でコーナリングできるのだ。



実はこの日、たまたまマツダ・ロードスターの撮影と重なったのだが、ヒラヒラと曲がるロードスターとは正反対のドッシリとした乗り味なのが、とても興味深かった。いや、実はM5は電子制御の自動安定装置をオフにして、2WDモードを選択することもできるのだ。

後輪駆動で走ると、フロントが急に軽くなった感じになってステアリングが不安定になり、自分でコントロールしなければならない範囲が広がるのがわかる。つまり、普段は電子制御によって、あの吸い付くような走りが実現しているということは、どんなに安心感があっても忘れない方がいいだろう。



文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=神村 聖

(ENGINE2025年9・10月号)
タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement