2025.12.30

CARS

【2025年新車人気ランキング】島下泰久らが総合評価 見えてきたクルマ好きの今年のトレンドとは?

エンジン HOT100は選考委員46名とエンジン・プレミアム・クラブ(EPC)会員有志36名で選んだランキングだ。

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【全2回の(前篇/後篇)の前篇】

自動車ジャーナリストとエンジン編集部員で構成された46名が選んだ20台とエンジン・プレミアム・クラブ(EPC)の会員有志36名が選んだ5台の順位によるポイント総数によって、2025年の新車人気ランキングエンジンHOT100が決定した。選考委員を代表して高平高輝、島下泰久のモータージャーナリストに加え、エンジン編集部の荒井寿彦、新井一樹、佐藤玄、村上政の計6名による座談会で2025年のエンジンHOT100の総合順位のなかからクルマ好きのトレンドを探る。

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選者の数は過去最高

荒井 2025年版エンジンHOT100の集計結果が出ました。今年のテーマは「マイ・パーソナル・ベストはこれだ!」です。総合順位を付けるルールは昨年同様です。昨年と大きく異なるのは、選者の数が過去最高ということ。編集部員を含めたジャーナリストは2名増えて46名に、EPC(エンジン・プレミアム・クラブ)会員有志は17名増えて36名になりました。

村上 ジャーナリスト枠で初参加したサトウ副編集長の感想は? 1位は何にしたの?

佐藤 自分のパーソナルな部分を重視して20台を選びました。5人家族ということもあって1位はBMW M3です。小さなクルマで峠をビュンビュン行くというよりも、ある程度の大きさがあって、高速巡航が気持ちいいクルマの方が好きなんです。2位はトヨタ・ランドクルーザー70です。一生乗って経年変化を楽しめるクルマとして選びました。ちなみに、注文済みで順番待ちです。



荒井 なるほど。では、これをきっかけに座談会に参加した6人の1位を聞いてみましょう。

島下 僕の1位はメルセデスAMG CLE53 4マチック+。ランボルギーニ・レヴエルトとかポルシェ911GT3などの凄いクルマに乗る機会が多いから、その素晴らしさも十分わかるんだけど、今回はリアルな生活に根差したものにしました。



新井 CLEはカブリオレの方?

島下 そうそう。カブリオレでもボディ剛性は高いし、実用性も良い。インフォテイメントも優れているし、CLEなんで停める場所もたくさん選べる。普段使いが気持ちいいというのがやっぱりいいと思ったんです。乗ると昔のメルセデス・ベンツが持っていた気持ち良さを感じるんです。124型が持っていたような精度の高さが伝わってくる。それがすごく印象的だった。

アルピナへ盃を!

高平 僕の1位はBMWアルピナB3 GT/D3 S。まあ、今年はアルピナでしょう! この盃を受けてくれって感じですよ。よくぞ60年、貫き通したと。3年前に2025年末をもってコンプリート・カーの生産を終了すると明言してからも、真面目にクルマを作り続けて、これで本当に最後になりますという潔さが素晴らしいじゃないですか。カッコイイ! 立派です。



荒井 僕は電気自動車が1位。キャデラック・リリックです。「マイ・パーソナル・ベスト」という段階で、みんなが選びそうなクルマはリストから外れる。同じのが嫌だというのが自分のキャラだから。で、今年乗ったなかで最もカッコイイと思った1台を選んだというわけです。



村上 今年もポルシェ911カレラ・クーペです。島下さん同様、まったく手の届かないスーパースポーツカーは1位には出来ないなと。素のカレラだったら清水の舞台から飛び降りる気持ちでローン組んでなんとかなるんじゃないかと思った。



新井 僕はランボルギーニ・レヴエルトを1位にしました。僕にとっては、ポルシェ911もレヴエルトも一緒です。どちらも憧れでしかない。だから911はGT3を選びました。



高平 エンジンHOT100は単なるクルマの評論ではなくて、あなたが欲しいか? という視点が入っているから、憧れと現実の駆け引きがあるよね。

ロードスターの連覇

荒井 それでは総合順位を見ていきましょう。今年の1位はマツダ・ロードスター! 昨年に続き2連覇ということになります。ジャーナリスト枠では29名が選び372ポイントを獲得、EPC会員枠では15名が選び56ポイントを獲得。総合ポイント428ポイントでチャンピオンに輝きました。



新井 ジャーナリスト枠だけで見ると1位はアルピーヌA110で、ロードスターは2位です。EPC会員のポイントが影響してロードスターが1位になったんですね。

村上 ロードスターとA110が1位争いを繰り広げるというのは、ここ数年ずっとやっている。2023年までA110が5連覇したんだけど、昨年順位が入れ替わった。ロードスターがマイナーチェンジしたことが大きかった。

佐藤 2枚ドアで、走ると楽しいのが好きというのが特徴なんですね。

村上 走ると楽しいと言っても、フェラーリやランボルギーニではなく、ロードスターとA110が1位争いをしている。それはパワーが善なのではなくて、軽さが善であるとみんなが考えているということ。エンジンHOT100の大きな特徴だよね。



島下 ロードスターはいまだにアフォーダブルであるのに対し、A110は値段が上がっちゃったじゃないですか。いまや960万円から。デビュー当初は700万円ぐらいでなんとか手が届くものだったのが、ちょっと無理かなあというものになりつつある。ジャーナリストはそこをあまり気にしていないんじゃないでしょうか。EPC会員の人たちはもうちょっとリアルだと思う。

新井 欲しい枠から憧れ枠に行っちゃった感じはしますね。憧れ枠に入ると、911などと一緒になる。価格のステージが変わったことにEPCの人は敏感だけど、ジャーナリストはクルマの良さで選んでることが多いんでしょうね。



村上 でも、いまや1853万円の911がEPC会員の2位だよ。

島下 そうは言っても911は別ということでしょうね。

高平 911はジャーナリスト枠で見ると5位。ロードスターとA110から大きく引き離されているのは、TやGTSに乗った人が少ないからじゃない?

村上 911はGT3をはじめ、カブリオレ、タルガ、ターボが全部違うクルマとしてリストアップされている。911シリーズとすれば総合順位でも圧倒的に1位になる。

◆総合の第4位にランクインしたのは、2025年が最後のモデルイヤーとなる、クルマ好きなら誰もが憧れるこのサルーン! この続きは【後篇】で!!

話す人=荒井寿彦+高平高輝+島下泰久+新井一樹(ENGINE編集部)+佐藤 玄(ENGINE編集部)+村上 政(ENGINE編集長) まとめ=荒井寿彦 人物写真=佐藤慎吾(ENGINE編集部)

(ENGINE2025年9・10月号)

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