2026.01.04

LIFESTYLE

これが100年前に開催された伝説の万博だ 「狂乱の20年代」アール・デコとはなんだったのか

『アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に』は三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)で2026年1月25日(日)まで開催中

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東京・丸の内で“アール・デコ”をテーマにした展覧会が開催されている。ファッションや工芸品など様々な展示品から1920年代の時代の空気を感じとりたい。

いまからちょうど100年前の1925年、パリでは万国博覧会「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」、通称アール・デコ博が盛り上がりを見せていた。アール・デコとは「アール・デコラティフ(装飾芸術)」の略称で、博覧会では建築や家具、庭園・街路芸術といった様々な分野の装飾美術品が出品された。そのなかでも特に注目されたのが、衣服や帽子、靴や装飾品などいわゆる「モード」のジャンルだ。

体の凹凸を強調しない直線的なシルエットと幾何学的な装飾が当時の流行を捉えている。パトゥはファッショナブルなスポーツウェアも提案し、女性たちの支持を集めた。ジャン・パトゥ イヴニング・ドレス(部分) 1927年 京都服飾文化研究財団 撮影:来田猛

1918年、第一次世界大戦が終わり、パリに平和が訪れると、消費文化が花開く「狂乱の20年代」と呼ばれる1920年代がやってきた。アジアやアフリカなどの植民地の文化、禁酒法や差別を逃れたアメリカ人などがパリに押し寄せ、人々の価値観は大きく多様化する。世界各地からやってきた芸術家による「エコール・ド・パリ」と呼ばれるムーブメントが起きたのも1920年代だ。

そんな時代の空気を敏感に察知したのは、ポール・ポワレやガブリエル・シャネルら、当時のデザイナーたち。彼らは活発になった女性のために、コルセットのない動きやすい服を次々に発表。瞬く間に人々の「装い」は変化していく。

19世紀末より宝飾品デザイナーとして活躍していたルネ・ラリックは、アール・デコ期はガラスを素材として活用、アール・デコ博では巨大なガラスの噴水なども発表した。ルネ・ラリック アトマイザー「サン・アデュー(さよならは言わない)」 ウォルト社 1929年 箱根ラリック美術館

そんな時代に開催されていたアール・デコ博は流行の最先端が凝縮された場所だった。それゆえ、当時の装飾様式はアール・デコと名付けられたのだ。もしも、タイムマシンが開発されたなら、ぜひともこの時代を訪れて博覧会を見てみたい。

三菱一号館美術館で開催されている「アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に」は、そんなアール・デコの時代の流行のファッション、すなわち「モード」を紐解いていく展覧会だ。美しいドレスだけでなく、当時の雰囲気を感じ取れる絵画や版画、工芸品などさまざまな展示品が並び「狂乱の20年代」を感じ取ることができる。

片手で扱えるコンパクトさで人気を博したライター。はっきりした発色のエナメルと銀の直線で構成される明快な装飾は、アール・デコのスタイルをよく表している。時計付きライター ダンヒル社 1920年代 個人蔵 撮影:若林勇人

ちょっと気が早いが、2025年のトピックスを挙げるとするならば、真っ先に候補となるのが、先日終わった2025年日本国際博覧会、通称「大阪・関西万博」だと思う。問題も数多くあったが、大屋根リングやミャクミャク、さまざまな国のパビリオンなど、100年先まで語り継ぎたいものもたくさん生まれた。100年前のアール・デコ博のように、大阪・関西万博も100年先の人々が心ときめくものになっているかどうか、いまからその評価がとても気になっている。

文=浦島茂世(美術ライター)

■『アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に』は三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)で2026年1月25日(日)まで開催中 詳細はホームページまで https://mimt.jp/ex/artdeco2025/

(ENGINE2025年12月号)

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