メルセデス・ベンツ日本はマイバッハ史上最もスポーティなモデル「メルセデス・マイバッハ SL680 モノグラム・シリーズ」を日本市場へ導入すると発表した。
ディテールに宿る、職人の矜持
フロント・グリルに目を向ければ、マイバッハとして初めて採用されたAシェイプの輪郭が目に飛び込んでくる。"MAYBACH"のレタリングが刻まれたイルミネーテッド・ラジエーター・グリルは、昼夜を問わず存在感を放つ。ヘッドライト内部に施されたローズ・ゴールドのアクセント、ボンネット・マスコット、そしてクローム・フィンが織りなすフロント・マスクは、まさにマイバッハならではの風格である。

だが、真に注目すべきは有償オプションとして用意された、PixelPaintによるMAYBACHロゴ入りボンネットだろう。
この革新的な製造プロセスは、インクジェット・プリンターの技術を応用したもので、1000個以上のノズルを搭載したプリント・ヘッドが、20〜50マイクロ・メートルという極小サイズの塗料を毎秒1,000滴以上の速度で噴射する。
ベース・コートとクリア・コートを塗布し、手作業で研磨。その後PixelPaintでマイバッハ・パターンをプリントし、さらに2度のクリア・コート塗装と研磨を経て、最終仕上げへ。合計4層のクリア・ラッカーと3回の研磨工程を経て完成するこのボンネットは、マイバッハ・パターンに独特の奥行きを与え、見る者の視線を釘付けにする。
極めて正確な塗布は、スプレー・ミストの発生を最小限に抑え、マスキング作業や複数回の塗装工程を不要とする。

エクステリアには、2つのデザイン・コンセプトが用意される。1つは“レッド・アンビエンス”。専用開発されたMANUFAKTUR ガーネット・レッドは、鮮やかで深みのある色彩と独特の奥行き感を持つ。これにMANUFAKTUR クリスタル・ホワイト(ナッパ・レザー)内装が組み合わされ、エレガントなコントラストを生み出す。

もう1つは“ホワイト・アンビエンス”。MANUFAKTUR オパリス・ホワイト・マグノ(マット)の外装に、同じくクリスタル・ホワイトの内装を合わせ、統一感のある上品な佇まいを演出する。
いずれもブラック・トーンのボンネットとソフトトップが、外装色との美しいコントラストを描き出す。

約15秒で開閉するアコースティック・ソフトトップには、ライト・ブラックのファブリックにアンスラサイト・カラーのマイバッハ・パターンが施され、開いた時も閉じた時も、その存在を主張する。

ドアを開けた瞬間、コーヒー豆の殻をなめし剤の原料として使用したMANUFAKTUR クリスタル・ホワイト(ナッパ・レザー)が目に飛び込んでくる。

シートに施された花びらを思わせるフローラル・デザインの刺繍は、フロント・シートからリア・コンパートメントへと連続し、エンボス加工のマイバッハ・エンブレムが格調高いアクセントを添える。レザーの縫製1つにも、職人の技が宿る。
コックピット・ディスプレイとメディア・ディスプレイには、ローズ・ゴールドを基調としたマイバッハ専用の表示スタイルとスタート・アップ・アニメーションが組み込まれ、本革巻きウッド・ステアリング、ステンレス・ペダル、イルミネーテッド・ステップ・カバーにもマイバッハ・ロゴが刻まれる。
17のスピーカーと1220Wのハイエンド3Dサラウンド・サウンド・システムも標準装備され、走行中も極上のサウンドに包まれる。
心臓部には、最高出力585psの4リットルV型8気筒ツインターボ・エンジンが搭載される。9段オートマチック・トランスミッションとの組み合わせは、ダイナミックでありながら滑らかな走りを実現する。
走行モードには、専用の“MAYBACH”モードが用意される。これを選択すれば、サスペンションは最も柔らかい設定となり、路面の凹凸を魔法のように吸収する。エンジンとトランスミッションの動作は静かでスムーズに調整され、車内は静寂に包まれる。
標準装備のアクティブ・ライド・コントロール・サスペンションは、インテリジェントな油圧制御によってロールを瞬時に補正。マイバッハ専用バルブと柔らかいスチール製スプリングの組み合わせが、比類なき乗り心地を約束する。フロント・アクスル・リフト・システムは、必要に応じてフロント・アクスルを約30mm持ち上げ、地下駐車場への進入も容易にする。
遮音対策が施されたアコースティック・ソフト・トップ、専用排気システムによるエグゾースト・サウンドの最適化、ソフト・エンジン・マウントによるノイズと振動の抑制などなど、あらゆる要素が、マイバッハならではの静粛性を実現している。
1921年9月、マイバッハ・モトーレンバウ社のシリーズ生産車第1号W3が発表された。ドイツ車初の4輪ブレーキやプラネタリー・ギア・ボックスと6気筒エンジンの組み合わせは、世界を驚かせた。2021年、シリーズ生産車第1号100周年を迎え、メルセデス・マイバッハはSクラス、GLS、そして2024年には初の電気自動車EQS SUVを発表。2025年、ついに2シーター・オープン・モデルのSLが加わった。

「マイバッハSL680モノグラム・シリーズ」は、1世紀以上にわたる伝統を受け継ぎながら、最新技術とクラフトマンシップを融合させた、究極のラグジュアリー・スポーツカーである。価格は3650万円で、受注生産となる。
文=ENGINE編集部
(ENGINE Webオリジナル)