2026.07.01

CARS

最高峰レーシングカーの技術が公道で味わえる|自動車評論家の佐野弘宗がポルシェ911カレラGTSほか5台の注目輸入車にイッキ乗り

佐野弘宗さんが試乗した5台の輸入車のインプレッションを紹介!

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2026年上半期イチオシのニューモデル33台にそれぞれ5人のジャーナリストが試乗した、計165本のインプレッションを順次公開している恒例の「エンジン・ガイシャ大試乗会」のリポート。今回は自動車評論家の佐野弘宗さんが試乗した、5台のインプレッションを一挙紹介!

キャデラック・リリック・スポーツ「これぞアメリカの高級車」

リリックはGMの新世代EV第1号である。トランプ政権下のアメリカでは、EVの近未来は不透明というほかないけれど、GMが社運を賭けた超大作であることだけは確かだ。



ちょっと前までのキャデラックは、メルセデス、BMW、アウディ(いわゆるジャーマンスリー)を強く意識した、シャープでクイックなスポーティ路線を売りとしていたことを考えると、リリックはそこからさらに一歩踏み込んだ……というか、ある意味で原点回帰的なキャデラックでもある。

その走りは正確だけれど、乗り心地はフンワリとおおらかだ。おお、これぞアメリカの高級車。ドイツ車みたいなキャデラックは、少なくともわれわれ日本人はそれほど魅力には感じないわけで、リリックの味わいには、なんだかご褒美をもらった気分になる。

いかにもアメリカな巨大SUVのエスカレードがトップを張るようになってからは、キャデラックのクルマづくりも、あらためていい方向に吹っ切れたのでは……と、このGM肝いりの最新EVに乗って思った次第。

ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・コンバーチブル「熟成した味わい」

10年位前までは欧州の屋根開きコンパクトカーがいくつもあったが、今は、このクーパーとVWのT-Rocカブリオレ(日本未導入)くらいしか見当たらない。近年の欧州メーカーは急進的な電動化に追い立てられて、この種の手ごろな遊びグルマを作っている余裕はないのかも。



いずれにしても、こうしたコンパクトかつ4人乗りのオープンカーは、もはや飛び切りのレア物件。オープン好きにとって、存在するだけで“ご褒美”だ。

ところで、今のクーパーはBEVとエンジン車の二刀流ラインナップ。どちらも見た目はそっくりだが、ハードウエアはプラットフォームから別物。全身が新開発の電気に対して、このコンバチも含むエンジン版はいわば従来改良型。設計がちょっとだけ古い。

ただ今回に限っては、そこがいい。JCWは最もハードコアでシャープな走りのモデルだが凹凸でも跳ねず、適度にしなるオープン・ボディのおかげか、路面変化にもいい意味で鷹揚。いかにもリアルな道で鍛え上げられて熟成した味わいである。

モーガン・プラス・フォー「この瞬間がモーガンだね」

見るからにクラシックなモーガンだが、現行型は2020年に80年以上ぶりにフルモデルチェンジ。つまり中身は最新だ。



基本骨格はアルミ。サスペンションは四輪独立懸架。パワートレインはBMW製の直噴ターボ+8段AT。伝統のトネリコ木材を今もフレームの一部に使うものの、初代のように必要に駆られて……というより、ファンへのご褒美という理由が大きいと思われる。

高速ではむき出しの上半身がまさに暴風にさらされる。現代のクルマらしくシートの調整幅は大きく、ステアリングもチルトとリーチの両方向の調整が可能だけれど、結局はステアリングを胸近くに抱え込む昔ながらのドラポジに落ち着く。

シャシーの路面さばきも正確そのものなのに、身のこなしに古いクルマっぽいあいまいさを少しだけ残すのは、見るからに揚力が大きそうなクラシカルなスタイルゆえか。

そしてなにより、いかにもモーガンなカーブを描くドアにヒジをかけると、あつらえたようなシンデレラ・フィットでクルマと一体になる。この瞬間がモーガンだね。

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