2022年の発売以来、毎年のように改良を重ねて、進化してきたGRカローラ。昨年は前期に新開発の8段ATであるGR-DAT搭載モデルを追加する大きな改良があったが、さらに9月には後期型を発表。なんと1年に2回のマイチェンが実施されたのだから、前代未聞と言っていいだろう。一体、どんな改良が施されたのか。このほど開かれた試乗会で、遅ればせながら、2025年後期型の新たな進化のほどを体感することができた。
レース参戦で得られた知見をフィードバック
今回の進化のポイントは大きく3点。1:ボディ骨格の強化、2:吸気冷却性能の向上、3:サウンドシステムの改良だ。

1と2は、スーパー耐久やニュル24時間レースへの参戦を通じてフィードバックされたもので、まず1では、ニュルブルクリンクのような強烈な上下左右Gがかかるサーキットでの走行安定性を高めるために、ボディ骨格に使う構造用接着剤を従来より13.9m長い、計32.7mに延長。とりわけ、フロントボディ、フロア、リアホイールハウスを中心に補強して、質量増を抑えながらボディの高剛性化を図っている。

2については、レースで長時間全開走行するとエンジンルーム内の温度が上がり、パワーが削がれる場面があったことから、吸気冷却性能を強化。エアクリーナーの下側に設けた2次吸気口に、フロントグリルから直接外気を導く「クールエアダクト」を追加することで、吸気温度の上昇を抑えたという。

一方、3はオプションのJBLプレミアムサウンドシステム装着車に関するもので、まず、荷室の下にサブウーファーを追加して迫力ある音響を実現。
さらに、走行時にスピーカーから擬似サウンドを出す、アクティブサウンドコントロールを追加し、スピーカーから加減速や駆動力の変化に合わせたスポーツサウンドを響かせるようになった。走行モードに合わせて音量が変化し、バブリング音も出るほか、ECOモードでは近所迷惑な排気音を小さくする機能もついている。
ドイツ車顔負けの剛性感
実際にRZのJBLプレミアムサウンドシステムが装着されたスポーツパッケージ仕様に乗ってみたところ、まず、走り始めてすぐに体感できたのは、圧倒的なボディ剛性の高さだった。

これまでのGRカローラだって、ノーマルのカローラとは比較にならないような高い剛性感を持っていたが、これはもう4枚ドアのついたハッチバック車とはとても思えないレベルになっている。正直なところ、ドイツ車顔負けの、まるで金庫の中にいるような剛性感だと思った。
その恩恵はハンドリングにも表れていて、ステアリング操作に対して、ピントがピタッと合った映像のようにリニアに反応してくれる。

ボディ強化は、クルマの動き全体にキビキビとした気持ち良さをもたらしてくれるのだ。その分、路面の荒れをダイレクトに拾うようになり、若干、乗り心地が悪くなったとも感じたが、この気持ち良さを思えば十分に許容範囲だ。
一方、アクティブサウンドコントロールは、いろいろなモードで試してみたが、まだまだ遠慮したスポーツサウンドという感じで、どうせやるならこの走りの気持ち良さに釣り合うように、もっと派手な音を響かせて欲しいと思った。そうすれば同じエンジンを搭載し、より軽量で運動性能の高いGRヤリスとは違う、GRカローラの大きな魅力の一つにもなるのではないか。今後、ヤリスより大人の感性を持った、日常遣いできるスポーツ・モデルに進化して行くことを願っている。

■トヨタGRカローラRZスポーツパッケージ
駆動方式 フロント横置きエンジン4WD
全長×全幅×全高 4410×1850×1480mm
ホイールベース 2640mm
車両重量 1510kg
エンジン形式 直噴+ポート噴射・直列3気筒ターボ
排気量 1618cc
ボア×ストローク 87.5×89.7mm
最高出力 304ps/6500rpm
最大トルク 400Nm/4500rpm
トランスミッション 8段AT(GR-DAT)
サスペンション(前) ストラット/コイル
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 235/40R18
車両本体価格(税込み) 598万円
文=村上 政(ENGINE総編集長) 写真=トヨタ自動車
(ENGINE Webオリジナル)