自転車の青切符制度が施行されて1ヶ月以上が経過し、青切符や赤切符を切られたことが話題となっている。今回の法改正は自転車のことが中心だが、同時にクルマの運転者にも影響する“自転車の右側を通過するときの通行方法”についても文章化された。この明文化がクルマ社会にどのような影響を与えるのだろうか。
自転車の右側を通過(追い越し)する場合の目安とは?
警察庁が公開した「自動車等が自転車等の右側を通過する場合の通行方法」では、クルマが自転車の右側を通過するときの目安として以下のように示されている。
・自動車等が自転車等の右側を通過するときはできる限り間隔を空ける(少なくとも1m程度間隔)
・自転車等と1m程度の間隔を確保できない場合には、20km/h〜30km/h程度で運転する
このような情報が公開されたことから、「安全な間隔は1m程度」、「20km/h〜30km/hの速度で運転」ということだけがピックアップされている。

しかし、警察庁の資料には、これらの数値はあくまでも目安であり、クルマが自転車の右側を通過する際の“十分な間隔”や“間隔に応じた安全な速度”については、走行状況や道路状況などによって異なるとも書かれている。
道路交通法によって交通混雑が発生するかも?!法律の基本的な考え方とは?
警察庁が公開している資料では、クルマが自転車の右側を通過(いわゆる追い越し)する際の具体的な数値を示しているが、注意書きで曖昧な表現がされているのは、“不安定かつ運転者の身体を防護する機能がない自転車を保護しなければならない”という道路交通法等の基本的な考え方があるためだ。
確かに、自転車はクルマ(自動車)と比べた場合に交通弱者となる。しかし、改めて認識しておきたいのは、道路交通法における“車両”は、クルマやバイクだけでなく、原動機付自転車(原付き)、自転車(軽車両)およびトローリーバスと定義されているという点だ。(道路交通法 第2条2)
つまり、運転免許が不要な自転車も道路交通法ではクルマやバイクと同じ“車両”であるため、クルマやバイクと対等な立場という考え方もできる。よって、道路を運転する全ての“車両”の運転者が道路交通法を理解しておかなければならないということになる。

しかし、自転車は運転免許が不要な乗り物だ。つまり、道路交通法における自転車の立場や法律に則った運転について学ぶことなく乗ることができる。
ときには、学校教育の中で自転車の危険性や運転する際の注意点の一部を教えることもある。が、あくまでも危険性と運転する際の注意点を周知するだけに留まる場合が多いだろう。
このようなことから、道路交通法における自転車(軽車両)の立場や法令を学ぶことはほぼないといっても過言ではない。そのため、自転車を運転しようとする場合、自ら道路交通法をはじめとする道路を運転する際の法令や運転方法を学ぶ必要がある。
自転車のルールの厳格化や青切符制度の導入、クルマが自転車の右側を通過する際の目安の公開をすることも大切だが、それ以上に道路を利用する運転者の教育を徹底すべきではないかと筆者は考える。
現状の法律では大渋滞が発生する可能性が高い!道路環境の整備や法律の例外規定も視野に入れるべきでは?
法律の整備や取り締まりの厳格化とあわせて考えたいのが道路環境(インフラ)や法律の例外規定だ。
車両が通行できるスペースが限られている日本の道路環境において、法改正後のルールに従って運転をすると、自転車の後方にクルマの渋滞が発生する可能性が高い。つまり、道路の円滑性がなくなるということだ。
これでは、道路交通法 第1条に定められている「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする」という条文に反していることになるのではないだろうか。

よって、取り締まりの厳格化や法改正とあわせて、交通社会の実態に合わせたインフラの整備や例外規定なども必要なはずだが、このようなことは現時点で協議すらされていない。
ぜひとも、交通社会の実態に合わせた法改正や例外規定についても協議してもらいたいものだ。
文・編集=齊藤優太
(ENGINE Webオリジナル)