2026.07.08

CARS

大事なのは“人がスポーツカーを操る感覚”、911カレラTと電動マカンGTSに試乗して「ポルシェのスポーツ」を考える

ポルシェ911カレラTと電動マカンGTSに試乗した。

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ポルシェは、やっぱりポルシェだった。じっくりとカレラTと電動マカンGTSの2台を乗り比べてあらためて感じたのは、そんな当たり前で、しかし本質的なことだった……。ENGINE編集部のサトウがリポートする。

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現代におけるスポーツカーとは何か?

ポルシェ911カレラTとマカンGTSエレクトリック。2ドア・スポーツカーとSUV、水平対向6気筒と電気モーター、6速マニュアルと1速固定式……。同じポルシェでも、まったく性格の異なる2台を、まる2日間じっくり試乗した。そして、あらためて考えさせられたのは、「現代におけるスポーツカーとは何か?」ということだった。

カレラTは、人が操る歓びを色濃く残したスポーツカーだった。

まず、カレラTに乗って強く感じたことは、このクルマが現代のマニュアル・スポーツカーの頂点にかなり近い存在なのではないか、ということだった。

というのも、純粋な速さやスポーツ性能だけを追求するのであれば、現在のポルシェにおいてPDKの完成度は圧倒的に高い。さらに上位にあるスーパースポーツの世界では、もはやオートマチックのほうが速く、正確で、クルマの性能を最大限に引き出しやすい。

3リッター水平対向6気筒ツインターボは394ps/450Nmを発揮。組み合わされるのは、いまや希少な6速マニュアルだ。

そんな中で、カレラTを運転すると、現代的な高性能と、人が操る感覚とを、絶妙なバランスで共存させていることに気付かされる。3リッター水平対向6気筒ツインターボ・エンジンのスペックは、最高出力394psと、数値的にはベースのカレラと変わらない。でも組み合わされるのはショートストロークの6速マニュアルで、これを左手でコクコクやるのはなんとも楽しい。



“Turbo”でなくても過給機付きが当たり前の時代になったが、低回転域からツインターボであることを忘れさせてしまうくらいナチュラルなレスポンスはお見事で、信号から信号までのダッシュでもゾクゾクする。さらに、カレラTは遮音材が取り除かれているから、車体後方から水平対向6気筒のサウンドがダイレクトに感じられ、実にたまらない。個人的には、これが“T”を選ぶ大きな価値なのではないかと思う。

軽量なリアエンジン・スポーツカーと、大容量バッテリーを積む高性能EV SUV。同じポルシェでも、そのスポーツの作り方はまったく異なっているが、走った時に感じる高揚感だけは、2台に共通している。

また、カレラTの車両重量は1510kgで、ベースのカレラよりたった30kg軽いだけなのにフットワークは一層軽やかに感じる。これは、試乗車はリアシート(10kg)が未装着なことや、標準装備されるリアアクスルステアリングなどのデバイスの効果もあるのだろう。ターボ化や電子制御は、運転をラクにしてくれる装備ではなく、人が気持ちよくクルマを操れる領域を拡張する装備としているのだろうという、ポルシェの思想が、ステアリングを握っているとまざまざと伝わってくる。



しかし同時に、カレラTあたりが現代スポーツカーとマニュアルの楽しさを自然に両立できる、ひとつの限界点なのだとも思った。これ以上ハイパフォーマンス化が進めば、マニュアルならではの面白さは、速さや電子制御の中に埋もれてしまうだろう。

一方で、本来のマニュアル車の魅力とは、もう少し素朴で、ドライバー自身がクルマを操り切れる領域に宿るものでもある。カレラTは、その両者の間にある、極めて繊細なバランスの上に成立しているクルマなのだと思った。

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