5月にパリで行われたアルピーヌ・テックデイに参加したジャーナリストの大谷達也氏。新たなプラットフォームを通して見えてきた、これからのアルピーヌの姿とは?
注目はバッテリーレイアウト
2代目A110が今年6月限りで生産終了になったという悲しいニュースを発表してまだ間もないアルピーヌだが、今度は明るいニュースが飛び込んできた。3代目A110などに用いる新技術を紹介するアルピーヌ・テックデイがフランス・パリ郊外のアルピーヌ・デザインセンターで実施されたのだ。

話題の中心となったのは、次世代A110にも採用されるアルピーヌ・パフォーマンス・プラットフォーム(APP)。アルミの引き抜き材を骨格として用いることは2代目A110と同じだが、このプラットフォームが3代目A110だけでなく、他のアルピーヌ・モデルにも採用されることが明らかにされたのである。
3代目A110がEVとなることは既報のとおりだが、そのバッテリー・レイアウトは実にユニーク。なんとEVで一般的なキャビンのフロア下ではなく、前後の車軸上に2分割してバッテリーを搭載するというのだ。この場合、フロア下に積むよりも重心が高くなる恐れがあるが、それよりもアルピーヌはドライバーの着座位置を重視。そうすることで全高1250mm前後とEVとしては異例の低さを達成するとともに、2代目A110とほぼ変わらないアイポイントの高さを実現したのだ。

また、3代目A110も後輪駆動とされるが、左右輪を独立したモーターで駆動するデュアルモーター方式を採用。トルクベクタリングを活用することで、1.5トン程度となる見通しの3代目A110に軽快なハンドリングをもたらすという。

いっぽう、APPを用いる3代目A110以外のモデルについては2+2シーターであることが明らかにされた。しかも、3代目A110と同じプラットフォームを用いながら、こちらはホイールベースを延長するとともに、セオリーどおりフロア下にバッテリーを搭載。さらに3代目A110と同形式のデュアルモーターで後輪を駆動するRWDモデルにくわえて、フロントにモーターを1基追加した3モーター方式の4WDモデルも登場する計画だ。
なお、7月中旬に開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでは3代目A110のテスト車がデモ走行を実施。その走りからは、EV化されたA110の開発が着実に進んでいることがうかがわれた。
文=大谷達也
(ENGINE2026年9・10月号)