ルノーのBセグメント・ハッチバック「ルーテシア」に乗って、ENGINE編集部のアサイシが群馬〜長野エリアへとショートツーリング。独自の技術で開発されたフルハイブリッド・システムで、ハイウェイ・ライドからワインディングまでを満喫した。
フランスのハイブリッド・コンパクトで小旅行へ
雨続きだった2026年の9月。東京では観測史上初となる全ての日で降水を記録するなど、なかなかドライブ日和に恵まれない日々が続き、クルマ好きとしてはもやもやした思いだけが募っていた。
それならば、いっそのこと晴れているところにいってしまおう! という思いで、天気予報で晴れ予報が出ていた長野北部エリアへのショートトリップを計画。相棒はルノーのコンパクト・ハッチであるルーテシアだ。

現在日本で販売されているルーテシアは、2020年に導入された5代目だ。昨年10月にはマイナーチェンジが行われ、フロントフェイスのデザインが大きく変わった。
それまでの"Cシェイプ"のデイライトを備えたヘッドライトから、新たにルノーのエンブレムである「ロザンジュ」を縦に半分にしたような特徴的な形のデイライトを持つデザインに変更。あわせてグリル形状も大きくリファインされ、全体的にかなりシャープで精悍な顔つきになった印象だ。

グレードも「エスプリ・アルピーヌ・フルハイブリッドE-TECH」に統一され、パワートレインの選択肢はハイブリッドオンリーとなった。

このE-TECHというハイブリッド・システム自体も、2022年に初搭載されてから既に4年経過しているが、F1参戦で培われた技術を応用して開発されただけあって、その走りの気持ちよさは自体は全く色褪せておらず、国産ハイブリッドと比較しても頭ひとつ抜けている印象がある。
それでいて燃費性能は輸入車のハイブリッドではトップクラスを誇るのだから、少し落ち着いたとはいえ、日々のガソリン代が気になる現代においてはありがたいことこの上ない。

同じくE-TECHを搭載する、キャプチャーやアルカナのツアラー的な乗り心地も捨てがかったが、「やはりドライブを楽しむならハッチバックでしょ」というわけで今回はルーテシアを旅のお供に選ばさせていただいた。
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改めて出来のいいハイブリッドだと実感
出発日はシルバーウィークの狭間、早朝、道が混み始める前にいそいそと都内を脱出する。ここで改めてになるが、「E-TECHハイブリッド」についておさらいしておこう。

E-TECHハイブリッドはルノーが2020年に開発したハイブリッド・システムで、1.6リッターの直4エンジンにメインとサブの2モーターを組み合わせる、欧州車としては珍しいストロング・ハイブリッドに分類される。
低速時(0〜40km/h)は100%モーターによる駆動でEVさながらの静かで滑らかな加速が味わえ、中速域(40〜80km/h)になるとモーターとエンジンの協調走行が始まり、状況によってはサブモーターにも動力を分配して発電も行う。ラゲッジ下には1.2kWhの駆動用リチウムイオン・バッテリーが備わり、モーター駆動のために使用されるほか、ブレーキ時の回生で発生した電力も蓄えることができる。
そして高速域(80km/h〜)になると、モーターよりも効率の勝るエンジンをメインに走行する。この複雑な駆動方式を実現しているのがF1由来の技術であるドグクラッチを使用したトランスミッションで、エンジン側で4段、モーター側で2段の変速比をそれぞれ持っている。

エンジン走行時で4段、モーター走行で2段、そしてエンジンとモーターの協調走行で4×2=8段。合計14通りの減速比を持っているが、そのうち2通りの減速比がほぼ同じため、実質12種類。これらのギアを走行中に巧みに切り替えることで、高い燃費性能を実現しているというわけだ。
また、ドグクラッチということで、変速時のショックや音を心配される方もいるかもしれないが、このE-TECHハイブリッドではほぼ皆無。自宅近くのインターから高速道への合流路で強くアクセルを踏んだ際も、本線の制限速度の100km/hまで一直線の加速直線を描き、ダイレクトなフィーリングが味わえるのだ。

混雑する前の都内の高速道路を早々に抜け、上信越道に入る。ここまで来ると高速道路といえども、勾配のある山岳路になってくる。
1.6リッターの直4エンジンはそれだけでも最高出力94ps/最大トルク148Nmを発揮するが、上り坂などパワーが必要な際は高速走行時でも適宜モーターが介入してくるので、力不足は感じない。
何より2025年10月に行われたマイナーチェンジでは新たに「E-Save」モードが加わった。このモードをオンにすると、先述のバッテリー残量が70〜80%を下回らないようにクルマ側で制御が入る。

もちろん走行中にバッテリーが減ってもサブモーターを使って充電走行することは可能だが、今回のようにあらかじめパワーが必要な場面がわかっている場合、それまでにE-Saveを入れておくことで、平坦路や下り坂で普段よりもバッテリーを多めに蓄えておくことができ、上り坂でより長い時間、モーターによるアシスト走行が味わえる。
ちなみに、この段階で都内からは約150kmを走行し、メーター上の燃費計は4L/100km(=25km/L)を表示していた。何も考えずに走ってもほぼカタログ通り(25.4km/L)の燃費が出てしまうのだから、改めて出来のいいハイブリッド・システムだと実感した。
>>>ルノー・ルーテシア・エスプリ・アルピーヌ・フルハイブリッドE-TECHの詳細はこちらから<<<
ワインディングでより輝く
軽井沢で高速を降り、下道で群馬〜長野の県境がある渋峠を目指す。この辺りのワイディングはまさにルーテシアの本領発揮エリアだ。

走行モードを「Sport」に入れ、日本の国道では最高峰となる2000m級の山々に向けてグイグイと坂を駆け上がる。Sportモードではモーターのピックアップが良くなるほか、低速時からもエンジンが積極的に動力に介入し、クルマがひと回り軽くなったような加速感が得られる。
メーターに表示されるパワーインジケーターを見ていると、かなり頻繁にモーター、エンジン、モーター+エンジンの駆動を切り替えているのだが、そんな雰囲気は微塵も感じさせず、非常に滑らかな加減速が本当に気持ちいい。

また、FF駆動ながらラゲッジ下に搭載されたバッテリーのおかげで、前後重量配分は約61:39。この適度なバランスのおかげかコーナーでもステアリングを切った方向に鼻先がスッと入っていくのだ。
足回りも絶品で205/45R17サイズの低扁平タイヤを履きながらも、少し荒れた山岳路のデコボコも何のその。余計なピッチングやロールも適度に抑えられ、路面にビタっと張り付くように走る。

この乗り心地は、かつて筆者が旧車系の雑誌編集部に在籍していた時に乗ったサンクやキャトルを思い出す。柔らかくもちゃんと芯があり、ドライバーが不快に感じる揺れや振動だけを適度にいなし、しっかりと路面に追従する。この感覚が現代まで引き継がれる“ルノーの味”なのだろう。
そうこうしているうちに、都内ではどんよりとした曇りだった天気も、ここまで来ると雲がほとんどない快晴に! 道路沿いの駐車場にルーテシアを停め外の景色を眺めていると、少し涼しい風が頬を撫で秋の訪れを感じさせる。取材時はまだ早かったが紅葉のシーズンに訪れれば、また違った風景が楽しめそうだ。

ひとしきりワインディングでの走行を楽しんだ後は、これまた渋滞に巻き込まれる前に長野側からそそくさと高速道路に乗り帰路へと着いた(とはいえ最後に少し渋滞に巻き込まれてしまったが)。あっという間の1日だったが、久々のロングツーリングは非常に楽しいものだった。
ちなみに、今回の総走行距離は約589km、最終的な燃費はメーター表示で4.4L/100km(=22.7km)だった。ワインディングが楽しすぎて少し踏みすぎてしまった感は否めないが、それでもリッター20kmを割らないあたり、経済性もバッチリだ。

衝突安全性能や乗員保護などで日に日にクルマのボディが大型化しつつある今日において、このサイズで運転も楽しく、かつ経済性にも優れるルーテシアは非常に貴重な存在といえる。熟成された足回りやハンドリングも一見(乗)の価値アリで、このセグメントでのクルマの購入を検討されている方は、ぜひ候補の1台に加えてみてはどうだろうか?
■ルノー・ルーテシア・エスプリ・アルピーヌ・フルハイブリッドE-TECH
駆動方式 横置きエンジン+モーター前輪駆動
全長×全幅×全高 4075×1725×1470mm
ホイールベース 2585mm
車両重量 1300kg
エンジン 直列4気筒DOHC+モーター
排気量 1597cc
最高出力 94ps/5600rpm(モーター49ps、モーター20ps)
最大トルク 148Nm/3200rpm(モーター205Nm、モーター50Nm)
変速機 4段×2段(モーター)自動MT
サスペンション 前 マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション 後 トーションビーム/コイル
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前&後 205/45R17
車両本体価格 424万9400円
>>>ルノー・ルーテシア・エスプリ・アルピーヌ・フルハイブリッドE-TECHの詳細はこちらから<<<文=浅石祐介(本誌) 写真=郡 大二郎
(ENGINE Webオリジナル)