一昨年12月、本拠地イタリア・サンタアガタに新設されたばかりの新工場を舞台に盛大なお披露目会が開かれたランボルギーニ初のSUV、ウルス。そこに列席する光栄には浴したものの、昨年4月にローマで開かれた国際試乗会には参加が叶わず、その後、日本に上陸してからもうまくタイミングが合わなくて、ずっと試乗できずにいた。だから今回、栃木県にあるテスト・コースでウルスの試乗イベントが開かれると聞いた時には、歓び勇んで手を挙げて、即座に参加することを決めた次第だ。
で、初めて乗って、驚いた。これまで試乗しなかったのは、クルマを柱とする雑誌の編集長として、うかつだった、とさえ思った。ホット100の選考基準である個人の欲望の対象となるかはともかくとして、ウルスは間違いなく新しい時代を切り開くエポック・メイキングなモデルだと、ほんの少し走らせただけで悟らされたからだ。
サンタアガタでのお披露目の時、ランボルギーニはこれを単なるSUVではない、〝スーパー〟SUVだと主張していた。その意味がようやく飲み込めた気がする。つまり、これはたとえポルシェ・カイエンと基本プラットフォームを共用していたとしても、まるで別のクルマであるどころかカテゴリーさえも異なる、まったく新しい領域に属するクルマだということだ。つまり、カイエンが飛び抜けてハイパフォーマンスではあってもSUVの領域に留まっているのに対して、ウルスはそこを完全に突き抜けて、別の領域に入ってしまっている感が濃厚なのだ。
今回の試乗イベントは本来ジャーナリスト向けの試乗会ではなく、カスタマー向けの体験会であるため、徹底的に限界性能まで試すようなプログラムが用意されていたわけではない(ローマの国際試乗会ではグランプリ・コースを全開で走り、さらにラリー・コースのようなオフロードを攻めまくったという話だ)。テスト・コースの中で順番に、ブレーキング&ハイスピード性能、滑りやすい路面での性能、オフロード性能を試し、最後に一般道に出て日常のドライビング性能を確認するという計2時間のプログラムだった。しかしそれでも十分に、スーパーSUVの〝スーパー〟たるゆえんを見せつけられることになったのである。
まずオーバル・コースを走るところから始まったが、音も凄いけれど加速も半端ではない。ほとんどスポーツカーの速さだ。あまりに速すぎて危険なので、バンクの下段しか使うことはできないという話だった。フルブレーキングのテストでは、身体の具合が悪くなりそうなくらいのGを体感。さらに、小回りのテストというのがあって、広い場所で単にステアリングをいっぱいに切り込んでグルグルまわるだけなのだが、リア・ステアがついているので、巨大なクルマがコマのように回り、3周もすると目が回りそうになった。
続いてインフィールドのハンドリング・コースでは、アヴェンタドールの先導車を追いかけて、スポーツカー顔負けのハンドリングを思い切り楽しませてもらった。さらに傾斜角30度の低μ路では、坂の途中で完全停止しても、巨大なボディを持ちながら1㎝も滑ることなく平然と再発進してのけたのには恐れ入った。
もうここまででウルスの並外れた性能に舌を巻いていたのだが、次に極端なうねりのついたテスト・コースを走って驚かされたのは、どんなにねじられてもミシリとも言わないボディ剛性の高さだ。これだけの車内空間を持ちながらスポーツカー並みの剛性を持っているらしい。そして、空しか見えない傾斜角50度の坂道をやすやすと上り、ドア下部まで水に漬かりながらあっさりと水路を走り抜けてしまったのである。
要するにスポーツカーの速さとハンドリング、それにオフローダーの走破性能を1台で完璧にあわせ持っているわけだが、これを単にSUVと呼ぶにはあまりにすべての性能において飛び抜けている。最後に一般道を走って感心したのは、エア・サスペンションのおかげで乗り心地も快適で、とても運転しやすいということだった。むろん、ドライブ・モード次第でいつでも猛牛に変身可能。その落差の幅もスーパーなのだ。
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■ランボルギーニ・ウルス
文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=ランボルギーニ・ジャパン
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