カルティエは、過去の創作に焦点を当てた回顧展を何度か催してきた。しかし、今回のような展覧会は初めてだ。その特色は何より作品の選択にある。カルティエが所蔵する宝飾品や時計、資料のみならず、通常公開されることのない個人所蔵の貴重な現代作品も数多く加えた約300点が一堂に会しているのだ。しかも、1970年代から最近までの現代デザインに焦点を当てた世界初の試みという点も非常に興味深い。カルティエの宝飾品と時計を長年にわたって見続けてきた筆者にとっても、今回は新鮮な発見に満ちていた。
素晴らしいのは、これらの現代作品に時を超越しカルティエならではの美意識が鮮明に反映されているところだ。試しに個々の展示品の製作年代を伏せたとしたら、それがはたして過去のものか現代のものか区別がつくだろうか?過去の作品に宿る尖鋭なモダニティと現代の作品に宿る優雅なヴィンテージ感が融合し、紛れもないカルティエの美の世界が表現され、圧倒的なのである。
「時間」がテーマなのだから、やはり時計も見どころだ。1912年の「サントス デュモン」、1915年の「トノー」、1920年の「タンク」など、腕時計の歴史を語る上で欠かすことのできないアイコニックな名作に出合える。これらの腕時計が創作されてから1世紀もの時が経つが、こうして21世紀に残る不滅の名作にはまったく古さが感じられず、ミュージアムピースどころか現行品のように見える。そう、本展の意図は、じつはそこにこそあるのではないだろうか。
最初に出合う1908年製造の時計を修復し逆行化した杉本博司の作品《逆行時計》が時間を巻き戻し、来場者を現在から過去へと誘うことではじまる回遊式の展示は、過去と現代のミステリークロックが並ぶ序章「時の間」(写真下)によって本展の「時間」というテーマをまず提示し、「色と素材のトランスフォーメーション」「フォルムとデザイン」「ユニヴァーサルな好奇心」という3つの章で構成されている。
第2章「フォルムとデザイン」の一角には歴史的に重要なカルティエの腕時計を展示。1912年の「サントスデュモン」から「トノー」「トーチュ」「タンク」まで名作が並ぶ。展示品と合わせ各章を引き立てる展示の演出も見どころだ。『カルティエ、時の結晶』は12月16日(月)まで。国立新美術館企画展示室2E東京都港区六本木7-22-2Tel.03-57778600(ハローダイヤル)開館時間10:00~18:00(金・土~20:00/入場は閉館30分前まで)火曜休館。
文=菅原 茂
→1904年に誕生したオリジナルの姿をそのままに大進化!カルティエ・サントスの新しい世界
→カルティエ・サントスの新しい世界。今、腕の上で楽しめる 充実のラインナップ「サントス ドゥ カルティエ クロノグラフ」
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
2024.12.26
CARS
なんと舞台は国立競技場! 130台のランボルギーニが集結 圧倒的迫…
PR | 2024.12.24
CARS
「ベビーカーの頃からガタガタ道が好きでした」父から受け継いだ初代に…
2024.12.18
LIFESTYLE
Maserati GranCabrio × PRADA スタイリス…
PR | 2024.12.12
CARS
「我が家はみんなイギリス好き」初代から3台を乗り継ぐ大谷さんの家族…
PR | 2024.12.19
WATCHES
365日の相棒! シンプルなデザインに最新技術を詰め込んだ、ザ・シ…
PR | 2024.12.18
CARS
【プレゼント】公道を走れるレーシング・マシンからラグジュアリー・オ…
advertisement
2024.12.23
自分へのごほうび!「予算200万円台」新車ランキング2024【自動車評論家厳選】
2024.12.20
【リセール無視、胸が高鳴る400万円台新車】第1位は武田公実が「内燃機関の在庫車が入手できるのは最後のプレゼント」と欲しくてたまらないあのクルマ!
2024.12.18
【もうええでしょう、即注文! 600~800万円台新車】第1位は編集部シオザワが「還暦を過ぎて乗ったらカッコいいジジイになれます」と大プッシュするあのクルマ!
2024.12.22
驚きの新車価格「200万円未満」ランキング2024【自動車評論家が厳選!】
2024.12.22
お値段以上! 新車価格「300万円」ランキング2024【自動車評論家が厳選!】