2019.12.18

WATCHES

「22世紀に遺したい時計」名畑政治が推す1本/H.モーザー ベンチャー・コンセプト ベンタブラック(R)

ENGINE WEB WATCH CLUB SPECIAL「22世紀に遺したい時計」♯11

H.MOSER & Cie./H.モーザー ベンチャー・コンセプト ベンタブラック(R)

インデックスもロゴもなく光さえ反射しない究極のミニマリズム。文字盤には1平方センチに約1億個のカーボンナノチューブが森のように密集し、光を99.965%吸収して真っ黒に見える。手巻き。レッドゴールド、ケース 直径39.0㎜、日常生活防水。税別295万円。


未来人の評価が楽しみな究極の黒

子どもの頃、21世紀になったらきっと宇宙食的なものを食べていると考えていた。あれから半世紀。実際は? 納豆練ってご飯にかけて食べているじゃないか! そう簡単に人間の生活って変わるものじゃないのだ。一方、デジタルの世界は無惨。80年代末に流行したワープロのほとんどは機能停止しフロッピーディスクも読み取れない。


そこへいくと納豆じゃなくて機械式時計は強いね。半世紀どころか百年前に作られた時計が今もちゃんと作動する。そう考えると22世紀にも機械式時計は立派に存続しているだろう。


そこで本題。僕が「22世紀に遺したい時計」は、歳月に鍛えられた機械式時計の技術と最先端技術を融合させたもの。それが「H.モーザーベンチャー・コンセプトベンタブラック®」。"地球上でもっとも黒い物質"と呼ばれるベンタブラック®を文字盤に用いたこの時計は、インデックスもロゴもない独自の"コンセプトデザイン"により、逆にH.モーザーだけの存在感を獲得した。


果たして22世紀の人はこの時計を見てどう思うか?「なんだこれ変なの」と否定するのか、「やっぱH.モーザー凄いじゃん!」と感嘆するのか? 僕は後者だと思うけどね。



なばた・まさはる
1959年、東京生まれ。学生時代から時計、ギター、書籍、カメラなどを収集。80年代半ばからライターとして活動し、94年からはスイス時計フェアを毎年欠かさず取材。時計専門ウェブマガジン「Gressive」編集長。

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