新開発の4000万画素モノクロ撮影専用撮像素子を搭載し、モノクロ写真における新次元の高画質を実現するレンジファインダー式デジタルカメラ。コンパクトでありながら極めて優秀なライカMシステムの交換レンズ群を駆使してモノクロ撮影に専念できる。ボディ:ライカM10モノクローム115万5000円(税込) レンズ:アポ・ズミクロンM f2.0/50mm ASPH.104万5000円(税込)
→ライカM10モノクロームの詳細はコチラ
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写真の歴史は、モノクロームから始まった。19世紀の前半には銀メッキを施した銅板やガラスの表面に光の濃淡、すなわちモノクロームの画像を記録していたが、19世紀の後半になると巻き取って扱えるフィルムが登場する。その後に映画用フィルムを用いる“小型速写カメラ”として1914年に発明されたのがライカであり、初めてライカで撮影された写真もモノクロームだった。
それまでの大きく重く操作に時間のかかるカメラと異なり、自由で軽快な撮影を可能にしたライカは、写真の世界に革命をもたらす。撮影者の眼前で変化し続ける光景を瞬時に捉える“スナップショット”の技法がライカの登場とともに編み出されたのだ。我々の記憶に刻み込まれたスナップショットの名作写真は、その大半がモノクロームであり、20世紀のグラフジャーナリズムにおいて社会に大きなインパクトを与えた数々の写真もまた、ライカで撮影されたモノクロームのイメージだ。
通常ボディ正面にあるライカの赤いロゴを入れないことに加え、ボディ天面も控えめであることを徹底。ホットシューの金具にLEICA M10、トップカバーの目立たない位置にMONOCHROMの刻印がされ、ダイヤルの表記もモノトーンで統一されている。
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21世紀に入り、カメラの主流がデジタルになることで私たちは好むと好まざるとにかかわらず常にカラーで写真を撮影することになった。もちろん後から画像処理で色を消すことでモノクローム化はできるから、フィルム時代のようにカラーで撮るかモノクロームにするかを撮影前に決心する必要がない。この常識に対しライカが提示したもうひとつの選択肢、それがモノクローム専用のデジタルカメラなのだ。
モノクロームしか撮れないという制約は、撮影者の精神をモノクローム写真に集中させるという効果とともに、撮像素子にカラーフィルターが不要なことからディテールまで繊細に、そしてシャープに描写することを可能にする。この他に例を見ない製品コンセプトで、ライカがモノクローム専用デジタルカメラの初号機を発売開始したのは2012年。左の写真は、今年1月に登場した3世代目となるライカM10モノクロームだ。本機はライカの中枢をなすM型カメラの中でも特別な存在であり、新開発された撮像素子はグレースケール記録専用の設計。4000万画素の圧倒的な画質で高精細に描写する。
ライカM10モノクロームには、最新の高性能レンズから伝説のオールドレンズまで1954年以降に発売された殆どのライカMマウントレンズが装着可能。スナップショットの名作が数多く撮られた焦点距離ベスト3は、50mmの標準レンズ、35mmおよび28mmの広角レンズだ。ボディ:ライカM10モノクローム115万5000円(税込) レンズ:アポ・ズミクロンM f2.0/50mm ASPH. 104万5000円(税込) ズミクロンM f2.0/35mm ASPH. 42万9000円(税込) ズミルックスM f1.4/28mm ASPH. 85万8000円(税込)
→ライカMシステム レンズの詳細はコチラ
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下に掲載した作品を撮影したアラン・シャラー氏は、ロンドンを拠点に活動するデジタル世代のストリート・フォトグラファー。そのキャリアの初期からモノクロームで制作をしている流れの中でモノクローム専用ライカと出会い、自分に最適なカメラだと得心したという。光の濃淡だけを捉えるモノクロームで撮れることに加え、あらかじめピントを固定して最善の瞬間にシャッターが切れること、そして他のカメラのように威圧感がなく控えめな外観であることから、周囲に撮影していることを意識させないことがモノクローム専用ライカが持つメリットだ。
一般的なカメラは、本当に必要かどうかの考察は後回しにして機能を付加し続ける。それに対しライカは写真の本質を見つめ、あえて機能を抑制することが撮影の自由度に貢献すると考える。これこそがライカが特別な存在とされる理由なのだ。
写真界の巨匠であるアンリ・カルティエ=ブレッソンやセバスチャン・サルガドにも影響を受け、1950-60年代の香港のストリート・スナップで知られるファン・ホーを敬愛するアラン・シャラー氏。彼が上の作品で使用したカメラがライカM10モノクロームだ。「今まで愛用してきた第2世代のライカMモノクロームと比較して超高画素数であるにもかかわらず、ダイナミックレンジと高感度特性が非常に優れている」とコメントしている。
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文=ガンダーラ井上 写真=松崎浩之
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