2020.04.01

CARS

【メルセデス・ベンツ300TE(1992) 長期レポート ♯14 】最新カー・オーディオを装着

過去13年間分の雑誌記事をWEBで再掲載している連載です。毎週水曜日12時更新。


***


ちょっと古いメルセデス、44号車。iPod対応のカー・オーディオ・システムとカーナビを奢られて、ますますリフレッシュ。まずはオーディオの報告から。


純正はカセット・デッキ

ヤナセの熟練メカニックの手によって、エンジンやトランスミッションなどの主要機関が新車同然に蘇った92年型メルセデス・ベンツ300TE。重厚な走りがもたらす安心感は、電子制御安全装置をテンコ盛りにした様々なニューモデルよりも勝っていると思えるほどだ。


一方、見劣りするのはオーディオである。純正装着されているオーディオはテクニクス製のチューナー付きカセット・デッキ! 担当者はiPodを専用トランスミッターに繋ぎ、音楽をFM波に乗せて聴いていたが、とにかく音が悪い。通勤に時間がかかる担当者にとって、クルマのなかは音楽を楽しむ空間でもある。輸入車専門のカスタマイズ・ショップ「コックピット21世田谷」にオーディオ改善の相談に行った。


輸入車のタイヤ&ホイールをはじめ、外装やインテリアのカスタマイズを手掛けるコックピット21世田谷。


「フロントのスピーカーを2ウェイにしましょう。いまダッシュボードの左右に埋め込まれているスピーカーはツィーターにして、フロント・ドアに新たにウーハーを増設します。リア・ドアのアームレストにある後部スピーカーも高品質のものに変更、さらにお好みのロックにふさわしくトランクにはサブ・ウーハーを付けるといいと思います」


芹沢店長は44号車のスピーカーの位置などを確認しながら、担当者が好んで聴くロック・ミュージックに合わせた音環境作りのアドバイスをしていく。そんな頼もしい芹沢マネージャーとともに選んだオーディオ・システムはパイオニアのカロッツェリアである。


サブ・ウーハーはTS-WX210A(2万6250円)。楕円形のウーハーと小さなツィーターはセット商品でTS-C5710A(3万3600円)。白いスピーカーはTS-F10(8925円)。リアの既存スピーカーと交換した。ヘッド・ユニットはDEH-P640(3万1500円)。5.8型モニターの「エアーナビ」はオープン価格。

iPodの音をCDなみに

ヘッド・ユニットは1dinタイプのDEH‐P640(3万1500円)。このヘッド・ユニットはiPodに特化したモデルである。iPodユーザーにとって何より嬉しいのは、iPodのために圧縮フォーマットされてしまったCDの音源を、デジタル処理によりCD同等に再現する"アドバンス・サウンドレトリバー"という機能があることだ。また、ロードノイズをリアル・タイムで検知し、音質を自動的に補正する機能も備えている。クルマでiPodを聴くにはピッタリのヘッド・ユニットだ。


スピーカーはカロッツェリアのカスタム・フィット・スピーカー・シリーズのなかから選んだ。トランクに設置したサブ・ウーハーも含めた計7個のスピーカーの合計金額は6万6675円。ヘッド・ユニットも含めると約10万円のシステムになる。とりあえずこのシステムでスタートし、使っていきながら車内の音響特性を見極めつつ、さらにシステムを充実させていきたい。


装着は古いクルマに詳しいオーディオ専門のメカニックが行った。センター・コンソール・パネルのほか、ドアの内張りも剥がして作業する。

いままでダッシュボードの左右にひとつずつあったスピーカーを2ウェイに変更。フロント・ドアにウーハーを取り付けるためマウントを作成。

フロント・ドアに収まったウーハー。台座のサイドにビニール・レザーを用いた綺麗な仕上がり。楕円形ウーハーの最大瞬間入力は130W。

トランクの右後方にサブ・ウーハーを設置。場所をとらないコンパクトなサブ・ウーハーだが迫力のある低重音を再現する。

センター・コンソールに収まったカロッツェリアのヘッド・ユニット。デジタル・データで記録された音楽をアナログ波形の信号に変換、ダイナミックで歪みのない自然な音を再現する。VUメーターがアナログ波形を表現している。ダッシュボード中央のエアコン吹き出し口上部に「エアーナビ」も付けた。


「コックピット21世田谷」での取り付け作業は2日間。左右のフロント・ドアに新設したスピーカー(ウーハー)用の台座は同店の職人による手作りである。仕上がりは素晴らしい。スピーカーはあたかも新車時からそこに装着されていたかのように自然に収まっている。


早速、ヘッド・ユニットにiPodを繋ぎ試聴。再生した曲は敬愛する故忌野清志郎の『スローバラード』のライブ版。空気を切り裂くようなギター・イントロに続き、バスドラがドーン! と腹を揺らす。サブ・ウーハーを奢ったおかげだろう。迫力ある低重音がいい。やっぱり、ロックの要は低重音だ。そして、あのキヨシローの声。くっきりと輪郭のあるヴォーカルは、まるで本人が蘇って目の前で歌っているよう。すごい臨場感で、もうこれで十分と思ったほどだ。


もうひとつ、すごいと思ったのは音漏れの小ささである。車内でベース音がドーン! と響く音量でも社外で聞こえるのはアイドリングの音のみ。300TEの気密性の高さは車内における音質向上にもひと役買っているかもしれない。


カーナビも付けた。カロッツェリアの「エアーナビ」である。別途パケット通信契約をすると、リアル・タイムの渋滞情報や駐車場の空き情報、さらには検索したガソリン・スタンドの価格までが表示されるというものだが、契約がこれから。次号以降でお伝えしたいと思います。


文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也


■44号車/メルセデス・ベンツ300TE
MERCEDES-BENZ300TE
購入価格:168万円
導入時期:2008年9月
走行距離 3万4570km+3万6430㎞


2008年にENGINE編集部は「長期テスト44号車」としてメルセデス・ベンツ300TE(1992)を購入。1984年にデビューしたこの124型は「消耗部品をちゃんと交換していけば新車同然の状態で長く使える」と言われた名車で、それを検証すべく連載スタート。購入時の走行距離が3万4000㎞だった44号車は、12年後の2019年に走行距離30万キロを突破し、いまだ現役です。


(ENGINE2010年1月号)

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