ここ数年続くテーマのひとつが山岳探検の精神。モンブランは、登山や旅、山岳シーンなどをヴィンテージ調のデザインに象徴的に表現した興味深いモデルを発表してきた。そうした精神を端的に伝える新作が、1本の24時間針をコンパスの方位表示にも利用できる「モンブラン 1858 オートマティック 24H」だ。ブラックダイアルにベージュで彩られた数字を配した独特のデザインも味わい深く、それは同じ新作のモノプッシャー クロノグラフにも見て取れる。こちらは戦前のミネルバクロノグラフをダイレクトに想起させるが、どちらも旬の素材ブロンズが効果的だ。
北半球の地図の上に赤い1本針を置くダイアルは、太陽コンパスの原理による羅針盤としても機能し、24時間で1周する時針を太陽の方角に向けると南北が分かる仕組み。ブラックにベージュの数字を配した新色のダイアルは、ブロンズのベゼルと相まってヴィンテージ感も抜群。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径42㎜、10気圧防水。税別33万円。

ミネルバの遺産から想を得たクロノグラフが新色のダイアル、ブロンズのケース、ベージュのNATOストラップの組み合わせによって一段と通好みの雰囲気に。希少なモノプッシャーで1858本限定ながらお手頃価格なのも見逃せない。自動巻き。ケース直径42㎜、10気圧防水。税別61万4000円。
ブームになる前からブロンズを採り入れた先駆者だけに、この素材と古色を醸すダイアルでヴィンテージの美学を表現する手法はこれら2作でも見事。また、150年前から続くフランスの織物工房で職人が手作りするNATOストラップで雰囲気を一段と高めるのもモンブランの得意ワザだ。
1本の針で24時間を表示し、コンパスとしても使用できる「モンブラン 1858 オートマティック 24H」。最新のムーブメントであえてプリミティブな表示を提案する発想がとても贅沢。ただ時刻を知るための役割ではない、見るたびに使い方そのものをも楽しませてくれるはずだ。
文=菅原 茂(時計ジャーナリスト)/前田清輝(ENGINE編集部シニア・エディター)
(ENGINE2020年7・8月合併号)
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