2020.08.10

CARS

日本で買える最強のSUV! ジープ・グランドチェロキー・トラックホークに乗る

ジープ・グランドチェロキー・トラックホークの全開加速は強烈だ!

全ての画像を見る

ミャーン! 5000rpmを超えるとスーパーチャージャーが甲高い金属音を轟かす。車窓はイッキに後方へ流れる。ウォオオオオ! なんという加速だ! 血中にアドレナリンが放出され、心拍数が上がったのだろうか、ガス・ペダルを緩めたあとでもドキドキしている。この感じはなんだろう? ゆっくりと最上点に登ったジェット・コースターが急勾配をイッキに下るのに似ているかもしれない。助手席の茂呂カメラマンはヘラヘラしている。ジープ・グランドチェロキー・トラックホーク(以下トラックホーク)の料金所ダッシュはそれほど強烈だった。


アドレナリン放出

「なんか、笑っちゃいますね」という茂呂カメラマン。東京のFCA本社で借りだしたトラックホークで中央道を八ヶ岳に向かっている。ジープ・グランドチェロキーの試乗会が八ヶ岳麓のホテルで開催されるからだ。東京から八ヶ岳のホテルまでも試乗コースというプログラムになっている。


トラックホークに搭載されるエンジンは6.2リッターV8+スーパーチャージャー。なんと最高出力710ps/6200rpm、最大トルク868Nm/4700rpmを発生する。2470kgという巨体なのに0-100km/h加速は3.5秒だ。


これぞアメリカンなOHV式の6.2LリッターV8。HEMIの刻印はクライスラーが誇る高出力ユニットの証。ただし、半球形燃焼室ではない。

参考までに書くと、ランボルギーニ・ウルスは最高出力650ps、最大トルク850Nm。ベントレー・ベンテイガとポルシェ・カイエン・ターボは最高出力550ps、最大トルク770Nm。トラックホークは日本で買える最強のSUVなのである。


真っ黒な顔はダースベイダーのような迫力がある。

外装はスタンダードのグランドチェロキーと基本的に同じだ。とはいえ、トラックホークは漆黒のボディに加え、フロントグリルもブラックアウトされているから、中央道をゆったり走っていても迫力があるようだ。前走車が車線を譲ってくれる。


インテリアには真っ赤なレザーが奢られているが、デザインはスタンダード・モデルと同じである。


内装の意匠はスタンダード・モデルと同じ。ステアリング・ホイールにトラックホークのエンブレムが奢られる。
レザーシートの掛け心地は硬め。
後席の足元はゆったりしている。

異なるのはドライブ・モードのセレクト・スイッチで、スタンダード・モデルがスノー、サンド、オート、マッド、ロックという5種であるのに対し、トラックホークのそれはトラック、スポーツ、オート、スノー、トゥという5つになる。セレクト・ダイアルの脇にはローンチ・コントロール・スイッチが備わる。映画『ワイルド・スピード』か!


センター・コンソールにドライブ・モードのセレクターとローンチ・コントロール・スイッチを備える。

ハードな足回り

大パワーを受け止めるためにバネは締め上げられており、乗り心地は速度域を問わずゴツゴツしている。295/45ZR20のランフラット・タイヤもショルダーが硬いようだ。サスペンションにはアダプティブ・ダンパーがおごられているが、オート・モードでも乗り心地は硬く、ボディは上下にユサユサ揺られることが多かった。


脚はビルシュタイン製のアダプティブ・ダンパーで引き締められ、ブレーキは大径ディスクとブレンボ製ブレーキ・キャリパーが装備される。

八ヶ岳麓のワインディングも当然のごとく速い。ほとんどロールしないでコーナーを抜けていく。ハンドリングは素直で気持ちいい。フロント6ピストン、リア4ピストンのブレンボ製ブレーキの制動力も素晴らしいと思った。


エネルギーに満ちたトラックホークの価格は1365万円。プレミアム・ブランドのハイパワーSUVは2000万円以上するから、そこに魅力を感じる人もいるだろう。


自然吸気V8がいい

トラックホークから乗り換えたのは、6.4リッター自然吸気V8を搭載するSRT8だ。


SRT8の外装もスタンダード・モデルとほぼ同じ。

トラックホークに比べたら大人しいと言っても、最高出力468ps/6250rpm、最大トルク624Nm/4100rpmというマッスルなSUVである。


価格はトラックホークよりぐっと下がって885万円だ。


6.4リッター90度V8は吹き上がりが滑らかで気持ちがいい。

いまや貴重な自然吸気V8だけれど、私はやっぱりこの味が好きだと再確認した。ガス・ペダルを踏む右足の力加減、エンジン回転数、そして加速感が見事にシンクロして、とても気持ちがいい。トラックホークでは使わなかったパドル・シフトを操作しているのも、反応が自然なエンジンだからだろう。トラックホークよりクルマとの一体感が強いと思った。つづら折りの道を右へ左へ、大きくて重いSRT8でコーナリングを続けても鬱陶しさや疲労感がない。むしろ元気になっていく気がした。


サスペンション、ブレーキはトラックホークと同じ。

グランドチェロキーのV8モデル2台に乗って、極端に過剰なものは人を元気にするのだと思った。


トラックホークでは爆発的パワー、SRT8では自然吸気V8のフィーリングが味わえる。しかも、どちらも家族が乗れる実用車というところが魅力だ。こういうのを自然と乗りこなす人はカッコイイと思う。


後席は60:40の分割可倒式。
最大荷室容量は1554リッター。

■ジープ・グランドチェロキー・トラックホーク


駆動方式  フロント縦置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高  4890×1980×1800mm
ホイールベース  2915mm
トレッド前/後  1670/1660mm
車両重量  2470kg
エンジン形式  V型8気筒OHV+スーパーチャージャー
総排気量   6165cc
最高出力 710ps/6200rpm
最大トルク 868/4700rpm
変速機 8段AT
サスペンション前 ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション後  マルチリンク/コイル
ブレーキ前&後  通気冷却式ディスク
タイヤ 295/45ZR20
車両本体価格 1365万円


■ジープ・グランドチェロキーSRT8


駆動方式 フロント縦置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高 4850×1985×1800mm
ホイールベース   2915mm
トレッド 前/後    1670/1660mm
車両重量  2400kg
エンジン形式  V型8気筒OHV
総排気量 6416cc
最高出力   468ps/6250rpm
最大トルク  624Nm/4000rpm
変速機 8段AT
サスペンション前  ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション後 マルチリンク/コイル
ブレーキ前&後 通気冷却式ディスク
タイヤ 295/45ZR20
車両本体価格 885万円


文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正


(ENGINEWEBオリジナル)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

タグ:

advertisement

PICK UP


advertisement


advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement