ジャーナリスト39人とENGINE編集部員6名、計45人が、雑誌が創刊した2000年からの20年間で「一度は手に入れたい」クルマ20台を選び順位をつけた。選んだ20台についてと、「20年間のクルマをどう見てきて、この1台はどういう基準で選んだのか?」というテーマに答えてもらった。
いまに始まったことじゃないけれど、多くの人たちが「欲しい新車がない」と嘆いている。同感だ。でも、時計の針を少しだけ巻き戻してみるとそこにはお宝がたくさん眠っている。そこで「自分が乗りたいかどうか」を基準に選んだ。自動車史における意義的なことを考えれば今日の電動化のきっかけをつくった初代プリウスは外せないが、残念ながら欲しくはないな、ということである。
いつの時代もそうだが、最新のポルシェは最良のポルシェだと思う。じゃあ991後期は? 992は?ということになるが、僕にとって自然吸気エンジンは最新よりも重要なポイント。自然吸気のフラット6を積む最新の911がこいつだ。
フィオラノを488ピスタで走らせた鮮烈はいまなお僕の記憶に生々しく残っているが、それでも3.9L V8ターボは自然吸気の4.5L V8がもたらす究極的エクスタシーを超えることはできていない。モダンV8フェラーリの金字塔が458だ。
なぜRRではなくMRにしたのか。理由を問えばRRではボディ下面のベンチュリー効果を期待できずリア・スポイラーが必要になると。まずはこういう知的ストーリーがクルマ好きのハートを掴む。走りも素晴らしい。僕の好みはA110S。
カッコいいのは781。しかし4気筒ターボのサウンドは僕がポルシェに求めるレベルに達していない。1世代前でも自然吸気フラット6がいい。
始動直後から感じる凄まじい存在感、甘い囁きの如き回転フィール、突き抜けるパワー……この6.3L V12エンジンは究極の内燃機関だ。
レンジローバーよりはスポーティだが、ヴェラールよりはフォーマル。この絶妙な立ち位置がたまらなく魅力的。走りの実力も一級品だ。
美しく速いクルマというジャガーの理念を象徴的に表している1台。当時はクーペが好きだったが、いまはなぜかコンバーチブルに惹かれる。
オール・アルミボディのX305系も嫌いじゃないが、XJらしさを濃密に味わいたいならこれ。程度のいいシリーズIIIがあればそれがベストだけど。
現行Cクラスもずいぶん熟成が進んだが、それでも先代の域には達していない。このサイズで大トロの如き乗り味を堪能できるのが魅力だ。
こいつは自分でも予想外。登場直後はアウディに日和ったアルファ?という印象を捨てきれなかったが、いま見ると抜群にカッコいい。
しっとりしているのにスポーティという往年のBMWらしさを強く残すシャシーと珠玉のストレート6を抜群のサイズ感にまとめた名車。
名車揃いのゴルフのなかにあってひときわ優れた快適性を備えているのが7代目。ゴルフ8がでてもきっと後悔しない。自分で買うならGTI。
ルビコントレイルで図抜けた悪路走破性を見せつけられて以来気になる存在になった。後席の居心地や小回り性が大幅に改善されたのも朗報。
ライトウェイト・スポーツとしてのピュア度をとことん追求しつつ、大人が本気で惚れられる質の高さや色気も備えているのがこいつの魅力だ。
登場から12年以上経つが継続的な改良によっていまだ超一流のパフォーマンスを維持している。
土の臭いとスピード感とメカメカしさが同居する雰囲気は、1周回っていま新鮮に感じる。
一部には初代のコストダウン版という評価もあるが、トータルではきちんと進化している。
走り、パッケージング、質感など、Bセグメントのお手本。新型もこいつを超えられていない。
13年経ったいまも立派に現役。デザインの優秀性と特別仕様の投入で鮮度を保つ戦術は見事。
チープシックという言葉を地でいく存在。新型フィットがお手本にしたことが話題になった。
文=岡崎五朗(モータージャーナリスト)

(ENGINE2020年9・10月合併号)
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