ジャーナリスト39人とENGINE編集部員6名、計45人が、雑誌が創刊した2000年からの20年間で「一度は手に入れたい」クルマ20台を選び順位をつけた。選んだ20台についてと、「20年間のクルマをどう見てきて、この1台はどういう基準で選んだのか?」というテーマに答えてもらった。
本企画に初参加の私が選んだ視点は、明確なる個性を持ち、そのベクトルがぶれること無く探究されたモデル。より生活に寄り添ってこれを表現するなら、駐車場でご対面してから、目的地でクルマから降りるまで、その個性ある世界観に包まれ夢を見続けられるクルマ。過去のマイHOT20を見ても、その様な完成度高い造り込みで所有満足度に優れるモデルが上位に来ている。
見た目のカッコ良さはもちろんのこと、シャシーと足回りそして空力性能の良さが1位にした理由。結果として、日常使い出来る乗り心地の良さを備えながら、他のスポーツ・モデルを圧倒する速さと刺激を備えることが出来ている。
2代前の997型でパワートレインを進化。先代の991型でトラクションやブレーキなど縦方向の能力を進化。そしてこの992型で横方向の踏ん張り力を進化させ、日常使いできるスポーツ・モデルとして極上の完成度の仕上がり。
シャシーの基本設計は10年以上も前だが、その完成度が圧倒的で、今でも技術進化に合わせて高性能化する各パーツの良さを余すことなく引き出し世界トップ・レベルの速さを維持。日常領域でも乗りやすくなっているのも魅力。
便利で快適な乗り物を求めたら、それがクルマになった……。と思わせる、クルマという固定概念を無視するような先進性と革新性が魅力。
オンロードだとバシッと走らない乗り味を含めて、ラフロード使用を純度高く求めた造りは、その手のクルマを求める方を大満足させる。
強いブレーキを踏むほどにフロント・タイヤを押さえ込めて気持ち良く走れるという、ロング・ノーズを武器にした他にはないスポーツ・モデル。
速度を出すほどに、押さえ付けられるでも無く、浮くわけでもなく、空気の中に1本レールが通るように安定して走る究極の空力モデル。
アクセルを踏むほどに、極太リア・タイヤが真っ直ぐ転がろうとする力が発揮されてクルマが安定するアメリカン・マッスルカーの究極モデル。
管楽器を奏でるようなずっと聞いていたくなるエンジンの吸排気音。エレガントなデザイン。ラグジュアリー・スポーツが探究されている。
エンジンの吹け上がりの良さ。シャシー性能。そしてデザイン。どの視点からみても、過不足の無い優等生的なスポーツ・モデルの仕上がり。
見た目や性能はスーパーカーにもかかわらず、フロント・リップの余裕のある最低地上高など、気を遣わず普段使いができる仕上がりが見事。
生涯、アイドル・ストップを付けてもらいたくないほど官能的に稼働するエンジンを、使用環境を問わずいつでも堪能できる贅沢モデル。
SUVに求められるタフさや悪路走破力を備えながら、高級感漂う内外装の造りに、上質な乗り味と適度なスポーツ性まで備えた万能車。
SUVでハイパワー・モーターも使った鋭く圧倒的な加速力を、電池切れの心配なく存分に使えて、なおかつ静かにも走れる超贅沢モデル。
このクルマの本質は、バイクのようなクルマ。走りをとことん楽しめてバイクよりも便利。
低重心、前後重量バランス、踏み切れるエンジン、程良い価格。それらパッケージが見事。
日本が世界に誇れる1台。軽量なのに跳ねない乗り味は、ドイツ車でもなかなかできない。
リア・タイヤを積極的に使い、乗り心地の良さとハンドリングを両立している仕上がりが見事。
コンパクト・ボディに電動ハードトップ・オープンを採用した、ライフスタイルが広がるモデル。
走りの良さに加えて、生活感を漂わせずに日常使いに適した室内の造り込みが随所にある。
文=五味康隆(モータージャーナリスト)
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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