次々に電動アシスト・モデルを投入して、電動化戦略を押し進めるボルボ。今度は1.5L3気筒+モーターを搭載したPHEVのXC40が上陸した。
7月にXC60にプラグイン・ハイブリッド(PHEV)と48Vのマイルド・ハイブリッドを出したばかりだというのに、今度はXC40にもPHEVとマイルド・ハイブリッドを登場させて、一気に電動化を押し進めようとしているボルボ。これでSUV系は全モデルに電動アシスト車がラインナップされたことになる。最初はXC90、次にXC60と、これまでは上から順にハイブリッドのシステムを共有することで電動化を進めてきたが、今回のXC40は上級モデルとプラットフォームが異なるため、ハイブリッド・システムも専用に開発しているのがポイントだ。XC90とXC60は、フロントが2L 4気筒ターボ+モーター、リアもモーターで駆動する2モーター式の4WDだったが、XC40は新開発の1.5Lの3気筒ターボ+1モーターの前輪駆動である。上位モデルよりコンパクトでキビキビとした走りが好評のXC40、モーターで加勢するとはいえ、1.5Lの3気筒で大丈夫なのかと心配になる。果たして乗った印象はどうだったのか。ズバリ、結論から言ってしまおう。まったく問題なし。え、これで3気筒なの? と意外なほどスムーズに走るので、正直驚いたほどだった。
試乗会では横浜の街中と首都高の湾岸線を走ったが、とにかくデフォルトのハイブリッド・モードの走りが良かった。モーターでスタートする走り出しがスムーズなのはもちろんだが、エンジンがかかったときの違和感もなければ、ギクシャクするような感じもまったくない。3気筒ということもあって振動が心配だったが、アイドリングで若干感じるくらいで、走り出してしまうと全然気にならない。走りは、バッテリーがあるので車重が1810kgとやや重いこともあって、キビキビというわけには行かないが、加速も不満はなく、けっこう速いと思った。
XC40のPHEVが搭載するエンジンは、2L 4気筒から1気筒を削った1.5L 3気筒DOHC 12バルブ・ターボで、最高出力は180ps、最大トルクは27.0kgm。これに組み合わされるモーターはフロントに1つだけだが、82psと高出力のものが使われている。ちなみにXC60のPHEVの場合は、フロント・モーターは46psでリアは88psだ。つまりXC60のリア・モーター並の力のあるモーターを組み合わせることで、満足のいく走りを実現し、純EV走行にも対応したというわけだ。そのEV走行だが、ピュアEVモードのときにモーターのみで走れる距離は最大40km程度、最高速は135km /hとなっている。ひとつ付け加えておくと、モーターはトランスミッションに直接マウントされており、そのトランスミッションはボルボ初のデュアルクラッチ式の7段DCTが採用されている。滑らかな走りだったことを考えると、よく制御できていると思った。
どちらかというと若い人向けのカジュアルなイメージが強いXC40だが、PHEVの乗り味は実は意外と上質で乗り心地もしっとりしているので、たとえばXC60を買おうとしているような客層にも十分受け入れられるはずだ。XC40のようなクルマに歳を取ってから乗るのはけっこうオシャレだと思う。しかもPHEVは乗ると思った以上に大人っぽい。それでいてXC60よりも価格が安い。ボルボのPHEVのなかではコレがイチ押しです!
文=塩澤則浩(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦
(ENGINE2020年11月号)
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