1965年にセイコーが発売した国産初のダイバーズウォッチは、翌年から4回も南極観測越冬隊の装備品になったほか、多くの冒険家の腕で未開の地へ挑んできた。その後も飽くなき進化を続け、セイコーの厳しい自社規格がJISやISOといったダイバーズの公的規格のベースになるなど、まさに世界をリードする存在となっている。
その偉大な55周年を祝して、オリジナルを可能なかぎり忠実に再現した「復刻デザイン」と、カラーやサイズ感に現代のトレンドを投影するなどモダンなアレンジを加えた「現代デザイン」の2型が登場した。実は2017年に一度、同じコンセプトで発売されており、その熱狂的な支持に応えた今回の「現代デザイン」は、よりオリジナルの持つ印象に近づけつつ、小型化と薄型化を図ることで使い勝手を強化した汎用性の高いデザインが特徴だ。
搭載ムーブメントも前作のCal.6R15から20時間もパワーリザーブが伸びた約70時間のCal.6R35に改められた。これはマジックレバーと呼ばれる高効率な自動巻き機構をはじめ、セイコーが築いてきた機械式の技術と伝統を脈々と受け継ぎ、耐久性や安定した精度を備えたコスパ抜群の駆動装置。決して華美ではなく、シースルーバックでもないが、極めて実用に徹したエンジンである。
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文=大野高広 写真=近藤正一
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