複雑に機能する時計のムーブメントは、もはや小宇宙といっても過言ではない。スーパースポーツカーにとってエンジンが大切なように、時計選びもエンジン=ムーブメントがキモなのだ!
ダイアル6時位置にある八角形のフレームに囲まれた数字が、毎正時に切り替わり時を示す──シャネルが2016年に発表した、初の自社製ムーブメントにジャンピングアワーという特殊な機構を組み込んだのは、香水のシャネル N°5に代表されるメゾンの重要なアイコンである数字を主役とするため。
そしてやや上側にオフセットされた分針は、240度の円弧上で60分をカウントし、瞬時にフライバックするレトログラード式を採用する。これら2つの機構を、設計者は完璧にシンクロさせた。ジャンピングアワーの数字を示すリングの内側には12のスロープを、レトログラード分針にはアームを装備。分針が60分進むと、アームがアワーリングのスロープとスロープの間の段差に落ち、針がフライバックする動きに順応してディスクを動かす仕組みだ。実に合理的で賢い設計である。
このメカニズムを含む、ムーブメントの主要パーツの製作は、凄腕時計師ローマン・ゴティエのアトリエが担う。直径1㎜にも満たないチューブを鋼材から削り出せる高度な加工技術と、切削油の温度まで徹底管理したミクロン単位の加工精度によって、シャネルの自社製ムーブメントの性能は、最大限に引き出される。
文=髙木教雄 写真=近藤正一 スタイリング=仲唐英俊
(ENGINE 2021年1月号)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
PR | 2025.02.27
CARS
これが最後の"天使の分け前" 純内燃エンジンのコンチネンタル GT…
PR | 2025.03.03
CARS
解良さん、アルカナの調子はどうですか? トミーカイラZZの生みの親…
2025.03.01
LIFESTYLE
ライカ史上最速! 最大30コマ/秒で追随するAF搭載の新機種、ライ…
2025.02.28
LIFESTYLE
フード・ライター小松めぐみが見つけた美味しいお店「日本料理 山崎」…
PR | 2025.02.26
CARS
これがレクサスLMの本命 6人乗りのversion Lにモータージ…
2025.02.26
LIFESTYLE
McLaren 750S SPIDER × HERMÈS スタイリ…
advertisement
2025.03.09
228psでポルシェ911カレラと同じ加速性能を誇るケータハム・セブン480に最終限定車が登場
2025.03.09
1ヶ月半悩んだ末に60回払いで買ったミニ・クーパーDクロスオーバー 25歳の彼女が「後悔しないように奮発」したそのワケは
2025.03.05
まだ注文できるBMWアルピナはあるの? 2025年内で終焉を迎えるBMWアルピナのコンプリート・カー事情
2025.03.12
「何をどうすれば、こんなに走りが良くなるのか?」BMWアルピナB3 GTに乗った自動車評論家の石井昌道は思わずこう叫んだ!
2025.02.14
「私なら門前払い」 ホンダと日産の経営統合破談会見を見て、国沢光宏氏(モータージャーナリスト)は何を思ったか