ステイする場所としてホテルは至高の場所だ。昨年から都心の名門が続々と長期滞在プランを発表。新しいバカンス・スタイルとして注目を集めている。
Resortという単語は、フランス語のsortir(出かける)に繰り返しを意味する接頭辞reがついたことで生まれた。つまり単なる行楽地というより、「何度も通う心地いい場所」というのが本来のニュアンスだ。そこでは日常と非日常の適度なバランスが求められる。実際、常宿で過ごす旅好きは少なくない。
世界がコロナ禍に見舞われて一年以上が経つ。多くの業種に多大なダメージを与えたが、観光業界はその代表格。移動そのものが憚られる逆風の時期にあって、東京都心の大型ホテルが相次いで長期滞在のプランを打ち出し始めた。なかでも興味深いのが紀尾井町のホテルニューオータニと六本木のグランド ハイアット東京。前者は最初のオリンピックに合わせて、当時の建築技術の粋を集めて建てられ、日本を代表するホテルとなった。後者は世界的に名高いハイアットホテルズアンドリゾーツのひとつとして2003年にオープン。国内外のエグゼクティブから支持を集めている。
それぞれ出自も歴史の長さも異なるものの、共通する特長は圧倒的な地の利。といっても単に駅からのアクセスの良さだけではない。ホテルニューオータニは四谷から赤坂見附へと下る傾斜地に位置する。グランド ハイアット 東京がある六本木ヒルズは淀橋台地の東端に位置するため、敷地全体がアップダウンの立体性に富む。それぞれ高低差のある広大な土地の形状であることから、都心でありながら豊かな庭と場所によって異なる景観を楽しめる。周囲のパースペクティブを生かし、かつ溶け込むような構成は海や山のリゾートホテルに通じるものがあるだろう。もちろん、両ホテルとも洗練されたホスピタリティとハイレベルな食事は申し分がない。地上の豪華客船とも言うべき、至れり尽くせりのサービスはひたすら快適だ。
リモート業務が浸透し、これまで以上にオンとオフの境界が曖昧となりつつある。バカンス、ワーケーションと休暇の定義も広がっていくだろう。過ごす場所自体を変えてみることも選択肢。だからこそ、まさに「繰り返し訪れたくなる」リゾートとして、東京都心でのロングステイがコロナ収束後もライフスタイルのひとつとなるかも知れない。
文=酒向充英(KATANA)
(ENGINE 2021年5月号)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
2022.05.17
CARS
アバルト695に限定695台の新たなお宝が登場 WRCを席巻した「…
2022.05.16
CARS
ルノー・カングーの牙城に挑むシトロエン・ベルランゴとプジョー・リフ…
2022.05.16
LIFESTYLE
バッハの不滅の傑作に挑んだ3人の名手 その演奏を聴き比べてみると
2022.05.15
CARS
MTだけのGT3を超える限定1250台の硬派系ポルシェ911、スポ…
2022.05.14
LIFESTYLE
乾杯はドン・ペリニヨンで! ワインとの相性を追求する赤坂のプレミア…
2022.05.12
LIFESTYLE
DS9 × HERMES スタイリスト・祐真朋樹の「乗る車 × 着…
2022.05.10
2021年に最も盗まれたクルマのベスト10はこれ! その傾向と対策を探った
2022.05.12
メルセデスに掛かれば、カングーもプレミアム・カーに大変身 新型Tクラス誕生
2022.05.11
F1由来の電動ターボで覚醒 新型メルセデスCクラスにAMG登場
2022.05.07
やっぱり見た目は大事! でも911はちょっとという人にピッタリのポルシェ 女性モータージャーリスト目線でポルシェ・マカンを乗り比べ!!【女子座談会・前篇】
2022.05.10
最新だろうとミニはやっぱりミニ! ミニ・クーパーS 3ドアに5人のモータージャーナリストが乗った!【2022年エンジン輸入車大試乗会】