2021.10.03

LIFESTYLE

日本最大のフランス料理の祭典で2021年の注目シェフ、こだわりの食材とは?

『THE UPPER』徳島亨シェフによる「福島県 鯉のパイ包焼き」。磐梯山の水で育てられた熊田水産の養殖鯉を使っている。

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10月8日より始まる「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク 2021」。その開催に先駆け2人の注目シェフが、特別な料理の数々を披露した。

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鯉の内臓や骨、エラまで

フランス料理は敷居が高い……。そんな先入観を払拭すべく、誰もが気軽にフランス料理を楽しんでもらうことを目的として2011年にはじまった「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク」。この趣旨に賛同した日本全国のフランス料理店が期間中、2500円、5000円、8000円のいずれかのコース料理を提供する食のイベントで、昨年ものべ4万人以上が利用した。

左がパーク ハイアット 東京『GIRANDOLE』の堤耕次郎シェフ。隣が『THE UPPER』の徳島亨シェフ。
 
11回目を迎えた今年は、10月8日~10月31日まで、過去最長となる24日間での開催となる。全国約570店の参加が決まっている中、次世代のフランス料理界を担う料理人として、”フォーカスシェフ”に選ばれたのは16名。中でも注目したいのが東京・大手町の丸の内テラス内にある『THE UPPER(アッパー)』の徳島亨シェフ(36)とパーク ハイアット 東京の『GIRANDOLE(ジランドール)』の堤耕次郎シェフ(49)だ。10月8日の開催に先駆け、2人はパーク ハイアット 東京で開かれた2日間限定のダイニング・セッションに参加。”サステナビリティ”をテーマに、特別な料理の数々をコースで提供した。
 
『THE UPPER』徳島亨シェフによる「岩手県 八幡平サーモン」は38度の低温でじっくり調理。右は万願寺とうがらし。

徳島シェフが手掛けた中で最も印象的だったのが、シェフの出身地である福島県産の鯉をパイ生地で包みこんで焼き上げた魚料理。鯉は多くの日本人にとっても決して食べ慣れた食材ではないが、磐梯山の水で育てられた養殖の鯉は、巷でイメージされているような泥臭さがない。さっぱりとして食べやすく、それが内蔵から骨、エラまで使った濃厚なソースに見事にマッチしているのだ。
 
『GIRANDOLE』堤耕次郎シェフによる「フランス産ルージェ鴨フォアグラのコンフィ―と市田柿 山形秘伝豆のプレゼ オータムトリュフ」。

『GIRANDOLE』堤耕次郎シェフによる「信州高山のジビエ 鹿ロースのロースト 栗のニョッキ 農園野菜 ポワブラードソース」。

一方の堤シェフが手掛けたのは、フランスの伝統的な煮込み料理、カスレの技法を使った温前菜。フランス産ルージュ鴨のフォアグラに、山形の秘伝豆と長野県の干し柿、市田柿を合わせたもので、日仏の食材の意外な競演を楽しむことができる。

そしてもうひとつ、堤シェフのこだわり食材が、信州高山の猟師が仕留めた雌鹿の肉。絶妙な火入れで調理された柔らかな肉は濃厚でありながら上品な味わいだが、「農作物などに被害をもたらす鹿の肉を料理に使うことは、自然環境を維持するためのサステナブルな活動にも役立っていることをみなさんにも知ってもらいたい」と堤シェフは鹿肉にこだわった理由を話す。

そのほか、いずれの料理もフレンチの技法とこだわりの和食材を組み合わせたもの。若手シェフたちの感性と技により、日本におけるフランス料理が独自の進化を遂げていることがよく分かる。もちろん彼ら以外にも、注目すべき日本の若手シェフは大勢いる。「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク」は、まさにそんなシェフたちの才能を、自分の舌で発掘するための絶好の機会でもある。

■ 「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク 2021」は10月8日(金)~ 10月31日(日)まで全国のフランス料理店で開催。ランチ、ディナーともに2500 円、5000円、8000 円(サービス込み)のいずれかで(レストランによって異なる)、前菜・メイン・デザート・食後の飲み物が含まれる。予約は各参加店まで。

文=永野正雄(ENGINE編集部)

(エンジンWEBオリジナル)

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