モンブランのアーティスティックディレクター、マルコ・トマセッタさん。
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筆記文化のみならず、ラグジュアリーなライフスタイルを提案し続けるモンブランのレザーグッズアイテムの仕掛け人に、新コレクションのコンセプトを聞いた。
信じられないほどの文化的深さモンブランのアーティスティックディレクター就任から約1年。満を持して誕生したマルコ・トマセッタさんによるレザーグッズの新コレクションには、万年筆のペン先をモチーフにしたディテールや、ロゴマークのサイズの変更、外側にあしらわれたポケットなど、さりげなく、しかし大胆な要素が数多く取り入れられていた。トマセッタさんによれば、いずれも、世界中の筆記具の頂点ともいうべき同ブランドの代表的なアイテム「マイスターシュテュック」から着想を得てデザインされたものだという。
「モンブランと他のブランドとの違いは、筆記具の進化において果たしてきた信じられないほどの文化的深さです。なかでもマイスターシュテュックは、"書く"という行為の象徴的なシンボルといえるでしょう。そこで私が挑戦したのが、筆記文化のアイコンであるマイスターシュテュックのこれまでのデザイン要素を"翻訳"し、レザーグッズの新しい旅の始まりとなるエキサイティングなデザインを創造することでした。マイスターシュテュックのデザインに内在する伝統的な遺産とつながりつつ、若い世代にも親しみをもってもらえるような、これまでにない新鮮で革新的なアイテムも用意しました」若い顧客のためにデザインされたという「マイスターシュテュック セレクション グレイシャー」コレクションでは、伝統的なデザイン要素とともに、ブランドのDNAであるモンブラン山をイメージさせる紺碧の氷河をナイロンにプリント。ナイロン地には「ECONYLR」とよばれる環境に優しい素材を使用し、加えて登山用のプレッシャークロージャーを採用するなど、まさにこれからの未来を担う冒険心にあふれる若者向けのアイテムになっている。世の中のビジネススタイルが変化しつつある中で、トマセッタさんを起用したモンブランの姿勢は、長年の歴史に留まることなく前進するこのブランドの革新性の証しであり、今後のさらなる進化を予感させて興味深い。「私の理想は、ミレニアル世代が求めている形状や機能性に、さらに独自の現代性を取り込むことです。ただし、最新のトレンドを追いかけるのではありません。ブランドの伝統的な遺産をもとに、新たなる創造を推し進め、従来のファンだけでなく、さらに多くの人々の共感を得ること。それこそが、私の使命です」文=浅利星司(ENGINE編集部) 写真=Karim Sadli(ポートレイト)
(ENGINE2022年6月号)
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