2023.02.04

CARS

ここがアルピーヌが生まれる場所! 1日15台! すべてが人間の手作業でつくられるスポーツカー、A110!! パリ〜レ・ジュリス〜ディエップを回って見えてきたアルピーヌの未来【後篇】

アルピーヌの聖地、ディエップの工場では、一日15台のA110が生産されている。

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F1とWECというトップ・カテゴリーのレースに参戦しながら、市販車メーカーとしても孤高のスポーツカー、A110を生産するアルピーヌ。その生れるところを訪ねて、フランスを旅してきた。前篇のパリ・モーターショーに続いて、今回の後篇では、A110のEVコンセプト・モデル、エテルニエを開発しているレ・ジュリスのイノベーション・センターやF1エンジン工場、そしてアルピーヌの本拠地、ディエップをリポートする。◆パリ〜レ・ジュリス〜ディエップを回って見えてきたアルピーヌの未来【前篇】から先に読む場合はコチラ!

開発のレベルはまだ1合目

パリからバスで南西に小一時間行ったレ・ジュリスの町の、昔は農家ばかりだったと想像される場所につくられた工業団地の一角に、アルピーヌ・イノベーション・センターはあった。以前のルノー・スポールの同施設を引き継いだもので、今では両者は統合されてアルピーヌに一本化されているので、ここではスポーツカーのみならず、ホットハッチやSUVも、アルピーヌの名のもとに開発が行なわれている。

レ・ジュリスのアルピーヌ・イノベーション・センター。ここには175人の技術者とエンジニアを含む約200人が働いている。そもそもはルノー・スポールがあったところで、A110Rの開発もここで行なわれた。もっか取り組んでいるのは、これから登場するEVの開発だ。

写真と透視図でもわかるように、前後に3分の1と3分の2に分けて電池を搭載している。

EV化とは別に、アイデアとして面白いと思ったのは、このクルマはルーフ・パネルが2分割して外せるようになっていたことだ。ひょっとして、このルーフについては市販化もあるかも。

そして、なによりも重要なことは、そのアルピーヌがこれから開発するクルマは、すべてがEVになるということだ。すでに2024年にホットハッチの、25年にスポーツ・クロスオーバーの、そして26年にA110の後継車となるスポーツカーの、EVが登場することが発表されている。センターの中にはすでに開発中と思われるホットハッチやSUVが厳重にカバーをかけて置かれていたが、それらの写真を撮ることは固く禁じられた。しかし、パリ・サロンにも展示されたA110エテルニテについては写真もオーケーで、中味もバッチリ見せてくれた。すなわち、これはまったくのプロトタイプで、このまま生産される可能性はないからである。では、何を研究しているのかといえば、EV化した時に、現在のA110と同じ俊敏なハンドリングや軽快な乗り味を実現するにはどうすればいいか、を現行型のシャシーに電気モーターと電池を積んで試みているのだ。その結果、前に3分の1、後ろに3分の2に分けて電池を搭載するのがベストだと分かったというが、これでは重心は下がらないから、せっかくのEVの利点は生かせない。実際のA110後継車はまったく新たなプラットフォームでつくられることになるだろう。

レ・ジュリスでは、パリ・サロンにも展示されていたA110エテルニテをじっくりと見ることができた。

ところで、ロータスと共同開発するという情報がネットで流れているが? とセンターの技術責任者氏に訊ねてみたら、あっさりと「その通りだ」という答えが返ってきた。すでに現場では話し合いが進んでいるという。ただし、その進行具合はアルプスの頂上を10合とした場合の今はまだ1合目だそうで、結婚はおろか婚約までにも至らない、手を握ったくらいの状態と言えそうだ。しかし、彼はこう断言した。「たとえEVになっても、アルピーヌの軽さとアジリティ(俊敏性)が失われることは絶対にない。安心しろ」と。

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