2023.05.26

LIFESTYLE

価格はなんと20億円! 今年のボート・オブ・ザ・イヤー『プリンセスX95』はここがスゴイ 

ゴージャスなプライベート・ヨット『プリンセスX95』

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日本で市販されるボートの中から、最も優秀なものを選ぶ ボート・オブ・ザ・イヤー。選考委員のひとりである自動車評論家、国沢光宏氏が、今年の頂点に立った『プリンセスX95』の新しい魅力を伝える。

過去の受賞艇の中でもダントツに高額


今年のボート・オブ・ザ・イヤー(BOTY)が『プリンセスX95』というイギリスのヨットに決まった。全長95フィート(約30m)というゴージャスなプライベート・ヨットで、価格は標準的なオプション込みで20億円。ビジネスジェットの場合、20億円で買っても運用会社に任せておけば自分が乗らないときはチャーター用に使って相当稼いでくれる。ヨットだと使わなければ浮いているだけ(笑)。とても贅沢な乗り物とされます。



ちなみにBOTYの対象は小型船外機艇から、プライベート艇であれば上限無し。そういった意味ではカー・オブ・ザ・イヤー(COTY)より対象になる価格帯が広い。今年で15年目になるイベントながら、過去の受賞艇の中でもダントツに高額である。プリンセスX95、どんなフネなんだろうか? ボートの購入を考えている読者諸兄も多いだろうから簡単なバイヤーズ・ガイドをお届けしたい。


ピニンファリーナがデザイン

まず95フィートというサイズだけれど、一昔前は「メガヨット」と呼ばれ最大級だったものの、今や100フィート以上のヨットが世界で6千艇くらいあると言われており、カンヌやモンテカルロあたりでは中型クラスに属す。クルマでいえばメルセデスのSクラスといったあたりだろうか。もちろん日本だと最大級! これ以上大きくなると係留しておく場所が限られてしまうほど。



プリンセスX95の面白さはピニンファリーナが手がけたデザインにある。今までのヨットを見ると、基本的に大型船舶を小さくしたようなシルエットだった。写真を見て頂ければ解る通り、プリンセスX95は全く違う。水面上に出ている艇体(マリン用語だとハル)を遠くから見たら今までに存在するどんなタイプのフネにも当てはまらない。


水面下に隠れているハルは、巡航時の抵抗を減らすためプレジャー・ボートでは珍しい球状艦首になっている。このクラスの標準的な航続距離といえば1200km程度。プリンセスX95の場合、18km/h巡航なら理論上、東京から那覇までノンストップで航行出来る。東京で船上パーティーをした翌週末は慶良間の海に浮かばせておき透明度40mの海を楽しむ、なんてことも可能。



もちろんホテルなど不要。3フロアになっており、10人分の快適なダイニングテーブルでフルコースを楽しめ、海を見ながらの快適なバーカウンターでナイトキャップ。ステータスのあるホテルよりゴージャスな部屋が5つあるので、ゲストも呼べる(クルー用の部屋は別にあります)。20億円のヒストリック・カーを買うより人生楽しめると思えるのだけれどいかがだろうか?


■小型艇から大型艇まで各部門賞を獲得した6艇の中から最高賞に選ばれた『プリンセスX95』。今回、お披露目されたヨットのオーナーはIT系企業の日本人社長とのこと。最終選考は今年3月23日、29名の選考委員により行われた。ちなみに日本ではエンジンで走るプレジャー・ボートを「クルーザー」と呼ぶが、世界標準では「パワーボート」。日本で言うヨットは「セイルボート」。そして世界標準の「ヨット」は、大型かつゴージャスなエンジンで走るプライベートなボートを示す。

文=国沢光宏

(ENGINE2023年6月号)

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