2023.08.01

CARS

メルセデスEQシリーズのフラッグシップSUV、EQS SUVに試乗 乗り込むのが恐れ多いほどの華やかな空間!

メルセデス・ベンツEQS SUV

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セダン・タイプのEQS、EQEと同じEV専用プラットフォームを用いた、全長5.1m超、車両重量約2.9トンという立派な躯体を持つEQS・SUV。サイズもパワーも装備もまさにフラッグシップに相応しい出来栄えだった。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

全長5m越えで車重は2.9トン!


EQSを名乗ることからも分かるように、この巨大なSUVはメルセデスのEV専用「EVA2」プラットフォームをセダンのEQSおよびEQEと共有するフラッグシップEVのSUV版である。日本仕様は「450 4マチックSUV」および「580 4マチックSUVスポーツ」の2車種の設定だが、どちらも3列シート7人乗りの大型SUVのEVである。



当然大きいのだけれど、それほど巨大に見えないのはツルリとフラッシュサーフェス化されたエアロダイナミックなボディスタイルのせいか、あるいは切り詰められた前後オーバーハングのせいだろうか。とはいえ実際には全長×全幅=5135×2035mm、ホイールベースはEQSと同じ3210mmもある。にもかかわらず、後輪が最大10度まで逆位相に切れるリア・アクスル・ステアリングを備えているおかげで、最小回転半径は5.1mとコンパクト・クラス並みであることも同様である。

驚くべきはこの図体にしてCd値が0.26ということ。実際にはこれに全面投影面積をかけなければいけないが、Cd値だけで言えばいかにもエアロダイナミックに見える新型プリウス(0.27)より優秀なのである。徹底的な空力処理が高速道路クルーズで実電費に効果的なことは既に経験済みである。



試乗車は高性能版の580だったが、搭載されるリチウムイオン電池容量は450とともに107.8kWh(これはセダンのEQSと同じ)、さらに両者は前後にモーターを備える4WDで、WLTCモードでの一充電あたりの走行距離は580スポーツで589km、450で593kmと事実上変わらない。580のシステム最高出力は544ps、同じくトルクは858Nmとものすごい(450は360psと800Nm)。もちろんメルセデスSUVのEV版フラッグシップだけに1999万円と価格も飛び抜けている(450は1542万円)。

豪勢きわまりない

580のダッシュボードには仰天するような3枚の液晶パネルを用いたMBUXハイパースクリーンが標準装備される上に、オプションでナッパレザー・シート(グレーと薄いブルーのコンビ)とオープンポア仕上げのウォルナット・パネルが備わっており、乗り込むのが恐れ多いほどの華やかな空間だ。室内スペースの余裕は言うまでもなく、3列目でさえ(膝が持ち上がるような姿勢を除けば)窮屈な思いをせずに座ることができる。

豪華ヨットの内装のようなオープンポア・ウォルナット・ウッドトリム、グレーと薄いブルーのナッパレザー・シート(どちらもオプション)の組み合わせは眩いばかり。




EQSと同じ長いホイールベースのおかげで3列目シートもまずまず実用的(足を持ち上げるような格好にはなるが)。

走りっぷりにも文句なし。フル加速すると暴力的とまではいかないものの(0-100km /h加速は4.9秒、最高速は210km /hという)、ほぼ2.9トンの車両重量を思い出せば、いやこれでもう十分です、と言いたくなる。これほどの質量を洗練されたマナーで動かし、不満のない快適性も実現するのは並大抵の技ではない。ただし、ブレーキングの際など、ものすごく重いクルマに乗っているということを忘れるわけにはいかない。

サイズもパワーも装備も豪勢きわまりなく、まるでテーブルいっぱいに並べられた豪華なフルコースのようなものだが、庶民には見るだけでお腹いっぱいという気がしないでもない。きっとここまで並べないと満足できない人も世界にはいるのだろうけれど、手を変え品を変え徹底的に応えるメルセデスにため息が出るばかりである。


文=高平高輝 写真=茂呂幸正



(ENGINE2023年9・10月号)

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