2023.10.14

CARS

祝120周年、45度Vツインのビートとハーモニーはまるで天国!  ハーレー ダビッドソンの新型CVOシリーズに試乗!

ハーレー ダビッドソンCVOストリート・グライド

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ハーレー ダビッドソンが自身の120周年を祝う祭典「ホームカミング・フェスティバル」を創業の地、ミルウォーキーで開催。現地でフルモデルチェンジを受けた新型CVOシリーズに乗った。

7万3000台のハーレーと13万人ものライダー


愛着のあるブランドが歴史を重ねながら、文化とコミュニティを発展させ、多くの人々を巻き込んでいくのは、ファンにとってとても喜ばしい。1903年創業のハーレー ダビッドソンはことし120周年を迎え、本拠地であるウィスコンシン州ミルウォーキーで「ハーレー ダビッドソン・ホームカミング・フェスティバル」を5年ぶりに開催した。



全米から熱烈なハーレー・ファンが自らのバイクで訪れる、音楽とモーター・カルチャーを軸としたビッグ・イベントだ。観光名所として知られるハーレー ダビッドソン・ミュージアムと近くの陸上競技場を中心に、ロック・バンドのライブ演奏をはじめさまざまなイベントが組み合わせられた4日間の壮大な祭典では、木曜日から週末にかけてハーレー乗りが交流を深めつつ歴史にひたる。今回は7万3000台のハーレーと13万人ものライダーが集結した。

来場しているハーレーは、巨大なカウルとサイドバッグを持つ大型のモデルがほとんど。生粋のファンが何台かハーレーを所有する中から、もっともクルージングに適したモデルを選んで聖地を訪れるのだろう。

人々のいでたちは“いかにもハーレー乗り”。ロゴ入りジャケットをはおり下はデニム、貫禄ある体格の人がほとんどだ。ヘルメットをかぶっていないライダーも少なくなく、いかにもアメリカという感じがする。

「ホームカミング・フェスティバル」時は街中にハーレー乗りが集結。来年は7/25~28に実施される予定で、テーマは「創業者“ウイリーG”に捧げる」になるそうだ。


ライブは数百メートル先からでも曲が聞こえるほどの大音量だ。地元市民がよほど協力的でなければこうはいかない。ハーレー ダビッドソン社の強い存在感を示している。

まさにグライド(滑空)
 
われわれプレスはフルモデルチェンジを受けた「CVOストリートグライド」と「CVOロードグライド」を200kmにわたり試乗した。グランド・アメリカン・ツーリング・シリーズのトップモデルだ。

前者はハンドル・マウント式のバットウィングとよばれるフロント・カウルを装着し、軽快な印象。後者は四角いフレーム固定式のフェアリングを備え、ウィンド・プロテクション性能を高めている。エンジンやフレームなど、基本構造は共通だ。CVOとは「カスタム・ヴィークル・オペレーション」の略で、絶対性能はもちろんのこと仕上げの品質にもこだわった上級モデルとして位置づけられる。



6月にハーレーのヨッヘン・ツァイツCEOにインタビューした際、彼はこれら新型について「3年をかけて熟成し、全く別物に生まれ変わった」と表現したが、その自信も頷ける出来だった。スタイリング、ハンドリング、パワーユニットの全ての面で洗練されている。

両モデルに搭載されるのはハーレー史上最大排気量となる1977cc空水冷Vツイン“ミルウォーキーエイトVVT121”。可変バルブタイミング機構と水冷シリンダーヘッドを持つ完全な新設計である。
 
レスポンスやなめらかさには大幅に磨きがかかっており、1500rpmからレブリミットの5500rpmまで、どこからでも豊かなトルクを満喫できる。最高出力115ps、最大トルク189Nmの数値は従来型から10%弱の向上に過ぎないものの、軽量化もあいまって、体感的な差は数字から想像するより大きい。



快適性もより熟成されていた。市街地から高速道路に至るまで両車とも乗り心地に硬さを感じる機会は一度もなく、見事なまでのグライド(滑空)感を味わうことができた。

新しいハーレーのトップモデルは、ロックフォードフォズゲート製プレミアム・オーディオシステムを標準で備える。スピーカーはかなりの大口径だ。音楽を聞きながらのクルージングを大きなアドバンテージと捉えていることの表れだろう。豊かなサウンドは前後左右からライダーを包み込み、クルーズ・コントロールと併用すれば、そのまま陸地の続く限りどこまでも走っていけそうな没入感に浸ることができる。ウィンド・プロテクション性能が高いロードグライドでは、長距離巡航がさらに楽しくなる。45度Vツインによる独特なビートとのハーモニーは、ライダーを例えようのない喜びの世界に誘ってくれた。

■ハーレー ダビッドソンCVOストリート・グライド
全長 2410mm
シート高 715mm
ホイールベース 1625mm
車両重量 380kg
エンジン形式 空冷V型2気筒
排気量 1977cc
最高出力 115ps/5020rpm
最大トルク 189Nm/3500rpm
ドライブトレイン ベルト6段
フロントフォーク 47mm倒立式1x1フロントフォーク
リア・サスペンション デュアル・アジャスタブル・エマルジョン式
ブレーキ 前デュアル・フローティング・ローター
ブレーキ 後 固定ローター
車両本体価格 621万2800円(カスタム・ツートーンカラー)

文=田中誠司 写真=ハーレー ダビッドソン

(ENGINE 2023年11月号)

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