2024.04.05

LIFESTYLE

たった4館で始まった韓国系の女流監督のデビュー作が『オッペンハイマー』などの話題作と一緒にアカデミー賞にノミネートの快挙!『パスト ライブス/再会』が描いた切ない恋の物語とは?

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3月に受賞式が行われた米アカデミー賞。『オッペンハイマー』や『バービー』などの話題作と一緒にノミネートされていたのが、3人の男女の心の機微を繊細につづった小品『パスト ライブス/再会』だ。

もしもあの時……

全米公開時にはたったの4スクリーンで始まった韓国系の女流監督のデビュー作が、口コミの力で900スクリーンに拡大。しかも本年度のアカデミー賞で作品賞、脚本賞で候補入りする快挙となったのが『パスト ライブス/再会』である。

午前4時のニューヨーク。バーのカウンターでアジア系の男女と白人男性が3人で酒を飲んでいる。韓国育ちの女性は、12歳で北米に移住。白人男性はその夫で、アジア系の男性は彼女の幼馴染である。実は韓国育ちの2人はかつてお互いに恋心を抱いていた仲。長らくニューヨークとソウルで別々の人生を歩み、今ここで再会を果たしたのである。



もしもあの時、別の選択をしていたら……。実体験に基づき、脚本を手掛けた監督のセリーヌ・ソンはもともと劇作家。本作の構成も、3幕ものの舞台劇のごとく、ヒロインの12歳、24歳、36歳と時代を区切って描いている。

青春の輝きや人生の美しさを捉えながら、3人の男女の心の機微を繊細に綴った本作。けっして言葉には出さなくとも、それぞれが抱えた思いや、とりわけ夫の妻に対する優しさが、深く心に染み入る作品である。

■『パスト ライブス/再会』
本作が映画監督としてのデビューとなるセリーヌ・ソンは1988年、韓国・ソウルの生まれ。映画の中のヒロインの設定と同じく、12歳でカナダに移住した。現在は劇作家としてニューヨークの劇場を中心に活動している。ちなみに本作では印象的なバーのシーンが登場するが、それも彼女の体験に基づいて描かれたものである。なおヒロインを演じるグレタ・リーはアメリカ育ちの韓国系移民の2世で、彼女に思いを寄せる韓国人男性役のユ・テオはドイツ・ケルンの出身。国際的なバックグラウンドを持つスタッフとキャストが集結した。106分、配給:ハピネットファントム・スタジオ。
4月5日(金)全国公開


文=永野正雄(本誌)

(ENGINE2024年4月号)

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