2024.03.16

LIFESTYLE

22年前に建てられた名建築を購入してリノベーション!「ピカピカの新築よりも、歳月を経た味わいのある建物が好き」という施主の希望に大改修で応えた建築家の素敵なアイディアとは?

奥の建物は22年前に建てられたもの。ガレージ上のコンクリートのデッキは、今回新設された。

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雑誌『エンジン』の大人気連載企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、リノベーションされた22年前の名建築を取材した。女性建築家の草分けとして知られる林雅子さんが手掛けた2世帯住宅が、建物のエッセンスを残したまま、夫婦2人のための快適な住まいに生まれ変わった。ご存知、デザインプロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。


ピカピカの新築よりも味わいのある建物が好き


綺麗に区画整理された横浜の住宅街に建つ、会社経営のOさん(56歳)夫妻のお宅。コンクリート打ちっ放しで庭に面した大きな窓が特徴のこの家は、22年前に建てられたものを改修したとは思えない、美しい建物だ。もともと設計したのは、日本の女性建築家の草分けである林雅子さん。上下階がほほ同じ間取りの二世帯住宅として建てられたが、近年は住む人もなく一棟丸ごと売りに出されていた。

芝生の庭とガラスの庇は今回改修された部分。


当時、この家にほど近い、眺めの良い丘の上に建つ一軒家に住んでいたOさん夫妻。散歩の途中に何度か家の前を通り、気になっていたという。それが売りに出ていると知り、2度ほど内覧をして購入を決断した。建築が好きで、住宅雑誌にもよく目を通しているOさん夫妻は、「ピカピカの新築よりも、歳月を経た味わいのある建物が好き」で、丘の上の一軒家も中古で手に入れ、それなりの金額をかけて改装を行ってきた。


縁のある建築家に依頼

そんなOさんが改修を依頼したのが、安田幸一さんが主宰する安田アトリエである。安田さんは、林雅子さんのご主人で日本を代表する建築家の林昌二さんと仕事をしていた関係で、林さん夫妻の自邸である名作「私たちの家」(1955年築)を住み継いでいた。その改修手法は、数十年前に建てられた名建築をそのまま復元するのではなく、建物の持つオリジナルのエッセンスを残しつつ、自分たちが暮らしやすいように大改修したもの。訪れた人は、最初からそのような家だったと勘違いするくらいで、改修は極めて効果的かつ自然に行われている。そして何よりこの家の特徴が、Oさん夫妻が購入した家と同じく、庭に面した窓が45度の角度で大きく開いた家なのだ。これが安田さんに依頼する大きな決め手になったと、Oさんは話す。

窓の大きさが際立つ2階のリビング・ダイニングとキッチン。大きなワンルームで、緑の棚の裏には書斎やもう一つのリビングが。

さて、O邸の改修でまず求められたのは、二世帯住宅を夫婦二人の終の棲家として暮らしやすいよう、機能を整理すること。Oさん夫妻からは、1台分だったガレージを2台分にするとともに、雑然とした印象の庭を整えて欲しいと要望があった。少し暗い階段室周りも、奥様が気になったところ。ホテルを頻繁に訪れる二人からは、仕上げ材は、「〇〇ホテルの□□の部分のような」、といった希望も出された。


こうして2023年夏に完成したO邸は、20年以上も前に建った家を改修したとは思えぬ佇まい。一体どこに手を入れたのか、説明を聞かなければ分からないレベルだ。オリジナルの間取りは、庭に面した大きなワンルームを、造作家具で緩く区切ったもの。かつては、玄関から入るとすぐにダイニングだったが、改修後は暖炉の有るゲストをもてなすホールに。奥にある、庭を望む大きなベッドルームと、半透明のガラスのパーティションで仕切っている。

かつての棚を撤去し、外が見える位置に設けられたキッチン。


2階はリビング・ダイニングとキッチン。丘の上の家の眺めがよかったこともあり、奥様たっての希望で、大きな窓が望める位置にキッチンを配した。階段室はトイレを撤去し余裕のある空間に。階段の床面には林雅子さんが多用した毛足の長い絨毯を敷き、滑りにくい工夫もこらした。家具は、この家のためにOさん夫妻が新たに選んだものがほとんどだ。センスの良さが窺える。

ガレージは、庭の一部を削りL字型のスペースに2台が停められるよう増設された。そしてガレージ上部はコンクリート製のデッキとして機能し、美しく整えられた芝生の庭を囲む構造になっている。


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