2024.05.10

CARS

「常に前向きに生きていくには、こんな時間が必要だ!」 モータージャーナリストの生方聡がベントレー・コンチネンタルGT Sなど5台の注目輸入車に試乗!

モータージャーナリストの生方聡が5台の輸入車に試乗!

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ベントレー・コンチネンタルGT S「人生の相棒に」 

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日本車を見るとクーペの選択肢は限られるが、輸入車ならたくさんのモデルが見つかり、ロング・ドライブが好きな私としては、ラグジュアリーなグランツーリスモは憧れの的。このベントレー・コンチネンタルGTもそんな一台である。実車を目の当たりにすると、一瞬でその美しく、速さを秘めたエクステリア・デザインに引き込まれてしまう。なかでも、エレガントなルーフ・ラインと、強さを誇示するブリスター・フェンダーのコントラストがこのクルマの魅力だろう。シートに身を委ねると、丹精込めて仕立て上げられたコックピットに目を奪われる。しばらくそのデザインを楽しんだあと、シート・ポジションを決めて、ドア・ミラーを調整すると、グラマラスなリア・フェンダーが目にとまり、これから始まる贅沢な時間に胸が膨らんでいく。余裕あるエンジンだけに、のんびりと走らせてもいいが、空いたワインディング・ロードでエンジンの咆哮を響かせると、抱えていた悩みも一瞬で解消。常に前向きに生きていくには、こんな時間が必要だ。コンチネンタルGTは人生の相棒に打ってつけの一台である。




BYDドルフィン「背中を押してくれる」

私がいま一番元気な自動車ブランドと思うのがBYD。コンパクトSUVタイプのEVであるATTO3が上陸するや、イベントに積極的に出展したり、気がつけば近所に正規ディーラーができていたりと、その勢いとスピード感には驚くばかりである。日本上陸第2弾となるドルフィンに乗るのはこの日が初めてで、どんな走りを見せてくれるのか興味津々。ATTO3を初試乗したときもそうだったが、いつも以上に好奇心が高まる状況は、試乗を生業とする私にとって、ある意味元気をもらう貴重な時間である。ドルフィンは、全高こそすこし高めだが、ハッチバック・スタイルは私の好み。インテリアはATTO3に比べておとなしい印象で、むしろこのほうが落ち着く感じがする。今回はバッテリー搭載量44.9kWh、モーター出力70kWと控えめなエントリー・グレードをドライブしたが、EVらしいスムーズで力強い加速は十分楽しめた。これで363万円、補助金をもらえば300万円を切るプライスは、これからEVを始めたい人の背中を押してくれるはずだ。日本のEVマーケットにも元気をくれる一台である。




メルセデスAMG EQE53 4マチック・プラス SUV「退屈とは無縁」

輸入車には、その名前を聞いただけで心躍るモデルがある。たとえば、AMG。いわずと知れた、メルセデスのハイパフォーマンスカー・ブランドだ。よく耳にするのは、いくつかのモデルでは、そのパワーの源であるエンジンをひとりのマイスターが責任をもって組みあげるという話。それだけに、AMGのエンジン・パワーを解き放った瞬間の興奮は格別である。そんなストーリーを持つAMGが、EVの時代でも変わらずエキサイティングなのがすごいところ。標準グレードのEQEやEQESUVは、走り、乗り心地、室内の広さのどれをとってもハイレベルな仕上がりを見せ、その内容を考えると従来のエンジン車よりもコストパフォーマンスの高い出来。正直なところ不満はないが、そのAMG版であるEQE53 4マチック+ SUVは、ふだんは標準グレードの良さを見せながら、ここぞという場面でアクセレレーターを踏み込むと、圧倒的な加速で心ときめき、AMGであることを思い知らされる。ボディの重さを感じさせない軽快なハンドリングゆえ意のままにワインディング・ロードを操れるから、どんな道でも退屈とは無縁である。




ボルボXC40リチャージ・アルティメット・シングル・モーター「峠道が待ち遠しい」

ボルボといえばほんと20年くらい前までは安全だけどちょっと無骨なイメージが強かったが、それがいまや、安全性で業界をリードしながら、デザインも走りも洗練されたカッコいいブランドに変身。エントリー・モデルのXC40を見てもそれは明らかで、そのスタイリッシュな佇まいを眺めたり、スカンジナビアン・デザインの心地よい空間に包まれるだけで心が安らぎ、気持ちが軽くなっていくのは不思議である。そんな、走らせなくても元気になれるXC40だが、ステアリング・ホイールを握るとこのクルマの楽しさは倍増する。なかでもBEVのXC40リチャージはドライブが楽しいクルマに仕上がっている。前輪駆動やそれがベースの4WDばかりのボルボにあって、XC40リチャージ・シングル・モーターは後輪駆動を採用。おかげで、ハンドリングはこれまで以上にすっきり軽快になり、また、加速時には418Nmの大トルクをリア・タイヤがしっかり受け止めるので、涼しい顔でアクセレレーターを踏みきれるのが頼もしいところだ。SUVなのにワインディング・ロードが待ち遠しいボルボである。

(ENGINE2024年4月号)

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