2024.05.26

CARS

『007』の秘密兵器で、日本の子供も魅了したロータス・エスプリS1をACマインズがオートモビル・カウンシルに出品

漫画『サーキットの狼』の影響で、スーパーカーブーム全盛時はロータスといえば「ヨーロッパ」という印象が強かった。しかし、市販ミドシップ・スポーツカーのパイオニアであるヨーロッパはウェッジシェイプではなかったので、どうしてもランボルギーニ カウンタック(クンタッチ)やフェラーリBBシリーズといったスーパーカーブームを牽引した2台と比較するとエクステリア面で華やかさに欠ける部分があった。

1976年にデビュー

リアル・スポーツカーのヨーロッパをスーパーカーに位置づけるのは日本特有の事象で、日本の子どもたちの間でパンチに欠けるスタイルと思われていたことなどイギリス人が知る由もなかったが、1976年にロータスは、リトラクタブル・ヘッドライトを持ちシャープなデザインでエキゾチックカーのカテゴリーに大手を振って入れる新世代2シーター・モデルを送り出す。



デザインはジウジアーロ

そのミドシップ・スポーツカーこそがエスプリだ。ヨーロッパの後継モデルだったこともあり4気筒エンジンを積んでいたが、世界的な工業デザイナーとして知られるジョルジェット・ジウジアーロ氏がエクステリア・デザインを担当。カウンタックやBBシリーズと同じようにウェッジシェイプを採用していた。そのため、日本の子どもたちは、ロータスというレース界の名門が造ったキビキビ走れる最新鋭ミドシップ・スポーツカーだとどこまで理解していたかは定かではないが、エスプリにも羨望の眼差しを向け始めたのだ。

クルマ本来の仕立てはロータスの例に漏れずリアル・スポーツカーだったが、ジウジアーロがデザインしたバランスのいいスタイリングが秀逸だったことによりエキゾチックカーとして捉えられることになったエスプリの初期モデル「S1」は、1977年公開の『007/私を愛したスパイ』にて、潜水可能な秘密兵器として登場。ジェームズ・ボンドの活躍を描いた映画『007』シリーズのボンドカーとしても活躍し、一躍ムービースターとなった。



オートモビル・カウンシル・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞

そんないつの時代にもロータス・フリークを熱くさせてきたエスプリS1が、スペシャル・ショップのACマインズの手で2024年4月12日~14日までの日程で開催されたオートモビル・カウンシル2024にも出品され、会場で数多くのクルマ好きを魅了した。

なお、このクルマは来場者の投票によって出品車の中からベストな一台を選出するオートモビル・カウンシル・カー・オブ・ザ・イヤー2024にも選ばれている。



インテリアは新品生地で仕立て直し

ACマインズが展示したのは1977年式のロータス・エスプリS1(税込価格:1580万円)。ACマインズのスタッフによると、このエスプリS1は7年前に入れたクルマで、取り外されていることが多いエンジン・カバーもしっかり残っているなど、新車時のディテールを今に伝える大変貴重な一台だ。

またインテリアは、世界に5台ぶんだけ残っているオリジナルの新品生地を使って仕立て直されている。インテリア以外にも新品のパーツを入手できる部分を刷新しているとのことだったので、リアル・スポーツならではの軽快な走りも楽しめるはずだ。

エスプリは幾度もの変更が加えられつつ、約30年という長きにわたって生産されたこともあり、ロータス・エスプリという車名を聞いて真っ先にイメージするモデルは人それぞれだと思うが、やはり、ジウジアーロ・デザインの端整なミドシップ・スポーツカーであった初期モデルが白眉だといっていい。ACマインズのブースで1977年式のロータス・エスプリS1を眺めながら、その想いを新たにした。今後も売り物の動向を注視したいと思う。



文・写真=高桑秀典

(ENGINE WEBオリジナル)

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