2024.06.02

CARS

羊の皮を被った狼の先駆け、コルチナ・ロータス ごく普通のフォードのセダンにロータスツインカムをぶち込む

今、コンペティション・サルーンといえば「BMW M3」や「アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ」といったあたりが代表選手だが、以前は「フォード・コンサル・コルチナ・ロータス」や「アルファ・ロメオ・ジュリアTIスーパー」、日本車では「日産スカイラインGT」などをイメージするクルマ好きが多かった。

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若い世代にも浸透

「以前」といっても60年以上も前の話なので、コンサル・コルチナ・ロータスやジュリアTIスーパー、スカイラインGTがサーキットで活躍していたことをリアルタイムで知っている人はもはや少ない。しかし、今でも上記のモデルはレーシーな印象が強く、若い世代のクルマ好きの中にも無条件で憧れてしまう人がいる。なんとも不思議な話なのだ。おそらく、輝かしい戦績を遺した両モデルの見た目が文句なしにカッコイイことから、誰もが魅了されてしまうのだと思う。いわゆる羊の皮を被った狼のようなクルマである点がポイントだ。



もはや貴重な1963年式

去る4月12日~14日までの日程で開催されたオートモビル・カウンシル 2024にてACマインズが販売していたのは、もはや貴重な1963年式の「フォード・コンサル・コルチナ・ロータスMk1 Sr1」である。会場で掲示されていた税込価格は1100万円であった。

デビュー当初はベースとなったフォード製サルーンの車名が「コンサル・コルチナ」だったのでコンサル・コルチナ・ロータスが正式名称だったが、1964年のマイナーチェンジ時にベース・モデルの車名からコンサルが消えたので、それ以降のモデルは必然的にコルチナ・ロータスとなった。



フォードがロータスに依頼

今回出品されていたクルマはコンサル・コルチナ・ロータスの最初期型である。その誕生の経緯を記しておくと、こういうことだ。

ロータスの創業者であるコーリン・チャップマン氏が自社のクルマのために独自のツインカム=DOHCエンジンをつくりたいと考え、フォード製ユニットをベースに開発を進めていた。そのときに、フォード・イギリスからグループ2ホモロゲーション用にフォード製サルーンにそのエンジンを搭載させて欲しいと依頼された。



シャシーにもロータスのノウハウ

両社が合意したことにより、フォードはコンサル・コルチナの2ドア・ボディをロータスに供給しつつ、マーケティングを担当。ロータスはフォードから提供されたボディの各部をアルミ化するなど軽量化を図り、そこに排気量1558ccの直列4気筒DOHCエンジンを搭載した。ロータスツインカムの最高出力は106psで、ボディが840kg程度と軽量だったこともあり、当時としては圧倒的な動力性能を誇った。

シャシーも改良され、ロータスがレーシングカーをつくる際に得たノウハウをサスペンションに余すところなく注ぎ込んだこともあり、コーナリング性能も向上。サーキットにおいて大活躍した。ロータスのファクトリー・カーは全車、白地に緑のストライプが入っており、フォード用のレースカーには赤のストライプを入れた車両もあったと言われている。



納車直後からバリバリ走れる

ACマインズが販売していた1963年式のフォード・コンサル・コルチナ・ロータス Mk1 Sr1のスペックは、ツイン・ウェーバー・キャブレター(40DCOE×2)、4段ギアボックス、リアAフレーム・サスペンション、スチールホイール&クローム・センターキャップ、アロイ・ボンネット&ドア&ブーツ・リッド、初期型ロータスバッジ(手塗り)、オリジナル・シート&ドア・トリム、ヘッドライト・ストーンガードという内容だ。

各部をしっかり直してあるとのことだったので、現車を購入したオーナーは、納車直後からバリバリ走れるはずだ。



文・写真=高桑秀典

(ENGINE WEBオリジナル)

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