2024.09.14

LIFESTYLE

どこまでが家でどこからが屋外なのか? まるで庭で暮らすような家 雑木林のある2000平米の敷地に建つ驚きの住まいとは?

雑木林から家を見る

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雑誌『エンジン』の大人気連載企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、注目の若手建築家が、田園地帯の雑木林に設計した家。それは220平米もある大きな屋根の下に、広々とした庭と小さな3棟の建物がある、シンプルにして斬新な住まいだった。ご存知、デザインプロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。

敷地は約2000平米で半分は雑木林


栃木県の南部。広大な関東平野にぽつんと取り残されたような低い山の麓に、会社員であるOさん(38歳)一家の家は建っている。付近には田んぼが広がり、小さな集落が点在する田園地帯。敷地はおよそ2000平米で、半分は雑木林である。「林の一番奥に祠があって、最初に訪れた時に神聖な気持ちになったのでこの場所に決めた」と奥様は話す。家は、この林を向いて建てられている。

設計は、玉田誠・脇本夏子さん夫妻が共同主宰する建築事務所。Oさん夫妻と玉田さんは、大学時代のサークルの同級生で、20年来の友人である。アウトドア・ライフが好きな父親のもとで育ったOさん。奥様もタイなどで育ち、オープンエアーの生活が日常だった。そんな夫婦が求めたのは、「庭で暮らすような家」だ。



マッドテレーン・タイヤに履き替え、バンパー部も特別なパーツでデコレーション。右奥にOさん自作の棚が見える。

現在Oさんは、この家から会社まで、クルマで片道30分の距離を通っている。それまで住んでいたのは、会社と同じ町にある社宅。次の住まいとして、同じ町の駅前に2年後に完成する、分譲マンションの購入契約をしたことがあった。しかし車幅が190cmもある愛車のジープ・ラングラー・アンリミテッド(2017年製)は、マンションの駐車場に入らない。キャンプなどアウトドア・ライフを楽しんできたOさんにとって、大型四駆は必需品だ。ソフト・トップを装備し、ラゲッジ・ルームまでフルオープンにできるモデルで、パーツを海外から取り寄せるなど改装も重ねてきた。そんな愛車は絶対に手放せない。加えてマンションでの暮らしに魅力を感じず、結局契約を解消した。こうした紆余曲折を経て、Oさん夫妻は自分たちの希望するスタイルの一軒家を作ることに方向転換。苦労して探し出したのがこの土地である。


まさか旧友が設計するとは

建築家選びも難航した。最初は何人かの栃木県内の建築家に相談したが、別のよい可能性がないかと考え、当時、設計事務所に勤務していた玉田さんに、相応しい人物の紹介を依頼する。返ってきたのは、「近く独立を考えている。自分たちに設計させてくれないか」という、予想外の言葉だった。有名な建築家の事務所で、大きな仕事をしているのは知っていたが、昔からの古い友達に設計を頼むことを考えたことはなかったと言うOさん。もっとも脇本さんと二人で設計するのだから、女性の視点も加わり良い家ができるかもしれない。そう考え、二人に自宅の設計を託すことにした。ちなみにOさん夫妻が希望したのは、「庭で暮らすような家」であることに加え、転勤があった場合に一部を貸し出せ、奥様が趣味を活かした小商いもできる家だ。



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