2024.10.09

CARS

「正直限界があるのかさえ分からない」メルセデスAMG GT 63にモータージャーナリストの高平高輝が試乗 底が知れない不気味さがある!

メルセデスAMG GT 63 4マチック+クーペ

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AMGの意地とプライド

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新型GTは新たに可変トルク配分の「4マチック+」システムを搭載していることも特徴だ(日本仕様は634マチック+のモノグレード)。0-100km/h加速は3.2秒(最高速は315km/h)というから、従来型GTRの3.6秒と比べてもその違いは明らかだ。大きく重くなった(4WD化などによって200kg以上増加)にもかかわらず、である。一般道でそんなとんでもない突進力を試すことはできないが、コンフォート・モードで首都高を流していても秘めた獰猛さがひしひしと感じられる。

インパネやフロント・シート、ドア・トリムなど、内装は基本的にSLと同じデザインだが、オプションで選べる可倒式のリア・シートは幌を収めるスペースという制約がないため、バックレストの角度が寝かされるなど、SLよりも居住性が高められている。

硬質で緻密だが、まったく荒々しくなく融通無碍にパワーを吐き出すV8ツインターボの息吹は格別である。滑らかではあるが、明確で切れのいいV8のビートを知れば、4気筒では物足りなくなるのも道理というものだ。さらに21インチ(鍛造アルミホイールとともに標準装備)の巨大なタイヤを履きながらも、乗り心地は決して、少なくともドライブモードを「スポーツ+」や「レース」に切り替えない限りはスパルタンなものではない。油圧アクティブスタビライザーを備えるAMGアクティブ・ライドコントロール・サスペンションやリア・ステアリング、電子制御LSDなどを総動員した新型シャシーの面目躍如である。

もちろん、どこでどう振り回したら不安定になるのだろう? と思うほどハンドリングも盤石だ。以前のように長いノーズが狙った通りにインを向くのを確かめてコーナリングするというより、気づかないうちに正確なラインに乗っているかのようで、正直限界があるのかさえ分からない。いかにも武闘派の雰囲気は薄れたものの、底が知れない不気味さにAMGの意地とプライドを感じたのである。

文=高平高輝 写真=メルセデス・ベンツ日本



■メルセデスAMG GT 63 4マチック+クーペ
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4730×1985×1355mm
ホイールベース 2700mm
トレッド 前/後 1680/1685mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 1940kg(前1060/後880kg)
エンジン形式 V型8気筒DOHC32Vツインターボ
総排気量 3982cc
ボア×ストローク 83.0×92.0mm
最高出力 585ps/5500-6500rpm
最大トルク 800Nm/2500-5000rpm
変速機 9段AT
サスペンション形式 前後 マルチリンク+コイル
ブレーキ 前後 通気冷却式スチール・ディスク
タイヤ 前/後 295/30ZR21 102/305/30ZR21 107Y
車両価格(税込) 2750万円

(ENGINE2024年11月号)

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