2024.10.26

CARS

頑固一徹オヤジのようなこだわりを持つマツダの新フラッグシップ、CX-80にエンジン編集部のムラカミが試乗! 

頑固一徹、マツダのCX-80XD Exclusive Modeに試乗

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縦置きエンジン後輪駆動ベース

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プレゼンの後、同じクルマの今度は運転席に乗り込んで、鳴門大橋を渡り、淡路島を縦断して神戸を目指す。自分でステアリングを握っても、まず感じたのは動き出しのスムーズさと静粛性、それに加えて、ボディの大きさをまったく意識しないで走れてしまうことに驚いた。なにしろ、フラッグシップだけあって、全長が4990mmで全幅が1890mm、ホイールベースが3120mmという立派な体格をしているのだ。にもかかわらず、大きさを感じさせないのは、ドライバーの操作に対してクルマがそのまま素直に動いてくれることからくる一体感によるものだろう。

Exclusive Modeのインテリアは随所にチタン・カラーのアクセントがあしらわれるとともに、シートにはブラックのナッパレザーが奢られており、スポーティさと高級感を兼ね備えた印象だ。


重量が2トン以上あることもあって、ノーマル・モードで走っているとかなり重厚な乗り味のクルマだと感じたが、スポーツに切り換えると操舵感も軽く動きも機敏になって、俄然、軽快感が増してくる。だが、脚の硬さを調整する機構が付いているわけではなく、あくまで操作に対する応答性の味つけを変えているだけなのだという。それでこんなに軽快感が出せるのは、そもそものクルマのバランスがいいからなのだろう。



試乗車は3列シートの6人乗り仕様だったが、2列目はもちろん、3列目でも十分に大人2人が過ごせるスペースがある。

真横から撮った写真を見て欲しい。今どきのSUVで、前輪とドアの間にこんなに長いスペースがあるのは珍しい。それはほとんどのクルマが横置きエンジンの前輪駆動ベースの4WDだからだ。しかし、マツダはあえて直6エンジンをフロント・ミドシップに縦置きする後輪駆動ベースのプラットフォームを選択した。その方が物理学的に言って間違いなく前後左右の動きに対してバランスが良く、操縦性が素直なものになる点を何よりも重視したからだろう。今回は試乗できなかったが、後輪駆動モデルに乗れば、操縦性の良さがもっとハッキリするに違いない。



こんな頑固一徹オヤジのようなこだわりを持ち続ける量産車メーカーは、世界広しといえども、もはやマツダしかないのではないか。静粛性についても尋ねたところ、コストをかけてでも徹底的に遮音材を増やして静粛性を確保し、その上で直6ディーゼルのいい音だけをサンプリングして電子的に作ったサウンドをスピーカーから流しているのだという。なるほど、ゴロゴロ音が聞こえないのはそういうわけだったのか、と口にしたら、いや、直6ディーゼルはバランスがいいから、なかなかいい音がしますよ、と返されてしまった。

マツダの頑固一徹、恐るべし、だ。

文=村上 政 写真=望月浩彦

■マツダCX-80XD Exclusive Mode(サンルーフ装着車)
駆動方式 フロント縦置きエンジン4WD
全長×全幅×全高 4990×1890×1710mm
ホイールベース 3120mm
車両重量(車検証) 2070kg(前軸1110kg、後軸960kg)
エンジン形式 直6DOHC直噴ターボ・ディーゼル
排気量 3283cc
ボア×ストローク 86.0×94.2mm
最高出力 231ps/4000-4200rpm
最大トルク 500Nm/1500-3000rpm
トランスミッション 多板クラッチ式8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ (前後) 235/50R20
車両本体価格(税込み) 545万500円

(ENGINE2024年12月号)

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