2024.10.29

CARS

カックカクの攻めたデザインでGLCと真っ向勝負 BMWの大黒柱、X3がフルモデルチェンジ 自動車評論家の渡辺敏史が試乗した!

新型BMW X3 M50 xDriveに渡辺敏史が試乗

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BMWの稼ぎ頭であるX3がまるでiXやXMのような顔つきに。とはいえその走りは、しっかりと熟成されたものだった。国際試乗会に参加したモータージャーナリストの渡辺敏史がリポートする。

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モノリシック・デザイン


2023年、BMWブランドの全銘柄の中で最も売れたモデルといえばX3。日本でも不動のトップである3シリーズに次ぐ座をX1と常に争う存在だ。2004年の初代登場から20年、その間の販売台数は350万台超と、ともあれブランドを支える大黒柱にまで成長した。それは裏返せば、後に続くモデルたちは絶対に失敗できないという重責を背負うことでもある。

X3 20


4代目となるX3は、彼ら最新のデザイン言語に則り、角が立ち面がパンと張った強い形状に改められている。BMW曰くの「モノリシック」は、IT業界で合理的に集積された一枚岩のプログラムや半導体デザインなどに用いられる言葉だ。その表現の発端となったiXやXMとの連続性もどことなく感じられるだろう。



内装もまた、彼ら最新のデジタル・プラットフォームとなるOS9とのシームレス・アクセスを目指したデザインが与えられた。12.3インチのメーター部と14.9インチのインフォテインメント部で構成されるカーブド・ディスプレイはタッチパネル操作を前提とし、AndroidをベースとすることでOTAによるサードパーティからの機能拡張も可能にするなど、柔軟性に富んだ設計となっている。センター・コンソールやドア・トリムに配されるクリスタル調のオーナメントは、空調の温度設定やADASの警告発砲など車両機能とも連動するインタラクション・バーとして、また、通常時は好みの設定が可能なイルミネーションとして車内を彩る。これは先に7シリーズや5シリーズに用いられたものが拡大採用されたかたちだ。


 
日本仕様が搭載するパワートレインは4気筒のガソリンとディーゼル、6気筒のガソリンの3つが用意される。いずれも基本的には既存のターボ・ユニットを継承するかたちだが、新たに全ユニットが48VのMHEV化を果たしているのが主な進化点だ。駆動方式は後輪駆動ベースのxDriveつまり四駆のみ。トランスミッションは8段ATとなる。

モーターは黒子


試乗に用意されたのは20とM50というガソリンの2モデル。M50はシグネチャーとなるストレート6を積み、400psにほど近いアウトプットを得ている。速さはもはやMパフォーマンスというより、そのものの側に準ずるほどだが、一方で日常域での乗り味にも上質さが感じられるなど、クルマ好きの琴線を巧みにくすぐる仕上がりだ。一方、日本仕様でのベース・グレードに相当するだろう20の側も動力性能的にはまったく不満はない。モーター・アシストは低回転域からの緩やかな加速などで顔を出すが、総じてパワーを滑らかに伝達するための黒子に徹している。M50に対すれば気持ちマイルドかつ大いに軽快なハンドリングは、敢えてこちらを選ぶという理由にもなり得ると思った。新型X3、デザインや設えの端々には攻めの姿勢をみせながらも、乗ってみればどこを摘んでも現れるのはBMWそのものである。

文=渡辺敏史 写真=BMW



(ENGINE2024年12月号)

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