2024.12.08

LIFESTYLE

伝説のバイク集団を描いた、かっこよくそして切ない映画『ザ・バイクライダーズ』 ハーレー好き必見のバイクムービー

映画『ザ・バイクライダーズ』116分。11月29日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開

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1960年代のアメリカで活動していたバイク・クラブのメンバーたちを捉えた有名な写真集。その作品からインスピレーションを受けた1本の劇映画が製作された。

1968年にアメリカで初版が刊行された『The Bikeriders』という本をご存知だろうか? これは1960年代にシカゴを拠点に活動していたバイク集団“Outlaws Motercycle Club”のメンバーだった写真家のダニー・ライオンが、仲間の日常を数年間にわたり捉えた有名な写真集である。今回、紹介する映画『ザ・バイクライダーズ』は、この写真集にインスピレーションを受けたジェフ・ニコルズ監督が、フィクションの要素を大胆に取り入れながら脚本を書き上げた作品だ。



本作の中心人物は3人。地元のバイク・クラブを取り仕切るリーダーのジョニー(トム・ハーディ)と、側近のベニー(オースティン・バトラー)、そしてベニーと結婚し、荒くれものたちの世界へと入り込んでいくキャシー(ジョディ・カマー)である。映画では彼らの関係を軸にしながら、親しい仲間内だけでスタートした小さなバイク・クラブが、各地に支部が立ち上がるほどの大きな組織へと発展していき、やがて制御不能な犯罪組織へと変容していく過程を描く。



劇中のクラブ名はあえて“ヴァンダルズ”と架空のものに変えられているが、登場人物の多くは写真集にも登場する実在のメンバーがモデルで、当時を振り返るキャシーの台詞も、残されていた彼女のインタビューを基にしている。また劇中に登場するバイクも、監督の強いこだわりにより、1965年型のハレ―・ダビッドソン エレクトラ・グライドなど、当時のヴィンテージ・バイクが40台以上選ばれた。

1960年代のアメリカを舞台にしたバイク映画といえばアメリカン・ニュー・シネマの傑作『イージー・ライダー』があるが、本作の時代設定も1965年。アメリカがベトナム戦争に本格的な軍事介入を始めた年である。そんな閉塞感が漂う時代を生きた“バイクライダーズ”たちは、破天荒で時に凶暴的でさえある。それでいて彼らの行動に共感できる部分があるのは、目的地さえ持たずに、ひたすらバイクで疾走する姿が、自由の象徴として映るからだろう。時代の空気感とともに、二度と戻ってくることのないバイクライダーズの一瞬の輝きを捉えた、どこか切ない郷愁を誘う作品でもある。

文=永野正雄(ENGINE編集部)


ダニー・ライオンの写真集に魅了され、架空の物語を創作した監督のジェフ・ニコルズ。2003年版の写真集にライオン本人による序文が掲載されており、そこに書かれていた、クラブのリーダーだったジョニーという男がリーダーの座を狙われたという一行を読んで、物語の全体像を整えていったという。そのジョニーを演じるのは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でタイトル・ロールを演じたトム・ハーディ。リーダー的カリスマ性を持ちあわせた兄貴分的な役柄にぴったりの存在感を示している。ジョニーの一番の信頼を受けるベニーに扮したのは、『エルヴィス』でエルヴィス・プレスリー役に抜擢されたオースティン・バトラー。バトラーはバイク・スタント・コーディネーターの指導を受けヴィンテージ・バイクを完璧に乗りこなせるようになったという。116分。11月29日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開(C)2024 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.

(ENGINE2024年12月号)

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