2024.12.08

CARS

「僕のデザインの教科書です」ミニ・クーパーSEを愛する25歳、電機メーカー勤務の遠藤隆太さん 

ミニ・クーパーSEとオーナーの遠藤隆太さん

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エンジン編集部唯一の20代ムラヤマが担当する連載『若者だってクルマ好き!』。今回は、絵本の世界から飛び出してきたような黄色が印象的なミニ・クーパーSE。電機メーカーに勤める25歳の会社員、遠藤隆太さんにとって、多くのことに気づかせてくれる存在なのだという。

ドイツの腕時計“ノモス・グラスヒュッテ”


「私の初めてのクルマは2年前の春、大学卒業時に中古で買ったマツダ2です。友人のクルマに乗せてもらうことが増え、マイカーのある生活は良いなと思ったのがきっかけでした」 

モデルチェンジを経て、より一層アイコニックな顔立ちに生まれ変わった新型ミニ・クーパー。


初めての愛車について、遠藤隆太さんは、このように振り返る。「クルマを運転している時間は、仕事のことなどを何も考えなくていい。それが休日の良いリフレッシュになっていました。それに、いつでも気楽に乗れるのも良かったですね」 

しかし、このときの遠藤さんにとって、クルマはあくまで自由になれる移動手段という認識だったそうだ。

「工業製品のブランドやデザインに関する仕事に就いてから“物質的に豊かな時代に長く重宝されるものってなんだろう”と、現代に求められるものづくりや、もの自体のあり方について考えることが増えました。そこで、自分なりに考えるための言葉や教科書が欲しくなったんです。その価値観を表すものを探していたとき、偶然出会ったのがドイツの腕時計“ノモス・グラスヒュッテ”です。機能的で飽きの来ないデザイン。一生を共にできそうな腕時計が、設計から製造まで、同じ価値観を共有する一つの会社の職人たちによって創られている。その美しい理念に惚れ込んで、今年の春に買いました」 



それまで、海外の製品にはあまり目をつけていなかったという遠藤さん。この時計をきっかけに、その考え方には大きな変化が起きたという。

「さまざまな製品を調べるうちに、ドイツのものづくりは面白いなと気がつきました。シンプルで機能性に優れたものを、長く使い続けようとする精神が、私の価値観にも合っている。ましてクルマは高い買い物だから、自分を表現したいし、ただ消費するのではなく“これが良い!”という一台に出会いたかったんです」 

そこで、まず遠藤さんが探し始めたのは、当然ドイツ車だった。

「手頃なイメージのVW、そしてメルセデス、BMW、アウディも調べました。でも、家の駐車場は小さいから駐車できるモデルは限られているし、どれもインパネのデザインや操作性が好きになれなかった。そんなとき、偶然インスタグラムのリール動画で目に飛び込んできたのが新型ミニの広告です。ひと目見て、なんだこの円形ディスプレイは! と」

ミニに一目惚れ 

エースマンが登場すると知った遠藤さん。実物を見たい。6月、東京・渋谷で開かれた発表会に足を運んだ。

「とにかくデザインが可愛い! この円形ディスプレイを持つインテリアがどうしても欲しいと思うようになりました。エースマンの外観もちょっとおバカなクマみたいな感じで良いと思ったし、買うつもりでした」



ここからは話が速かった。翌日、ディーラーの担当者がエースマンのカタログを自宅に届けに来たそうだ。

「新しいミニ・クーパーもあるので見に来ませんか? と誘われたんです。エースマンの試乗車はまだないけれど、もう用意があるEVの新型クーパーはプラットフォームも同じだから、雰囲気もわかるというので」 



参考程度に見るつもりだったミニ・クーパーだったが、実は遠藤さんの好みにはこれが合っていたのだ。

「まず、顔がこんなに愛らしい! やっぱりミニらしい丸目が欲しい。走りはクイッと曲がるのが気持ち良いし、疑似的な走行音は近未来感もあって面白い。クーパー一択でした」 

ところで遠藤さんにとって、動力源はあまり問題ではなかったそうだ。

「どちらかといえばエンジン派です。ただ、買うだけでも背伸びをしているから、ガソリン代や維持費を気にするのは嫌でした。それに仕事柄、EVの生活にも興味を持っていたんです。それにEVなら補助金もある」 



9月半ばに納車されてから2ヶ月。これまでの印象を遠藤さんに聞いた。

「乗り始めて思ったのは、人を素直にさせてくれるクルマだということです。行きたい方向に、意のままに運転することを許してくれる。そして、何も考えなくて良い時間という以上に、初めて運転することの楽しさを感じられるようにもなりました」 

続けて、遠藤さんはミニ・ブランドに対する熱い想いを語ってくれた。



「今はBMWグループだけど元は英国のブランドだし、このクルマは中国製。それに、EVは永くは乗り続けられないと思うから、私のはじめの話はどこに行った、って感じかもしれません(笑)。でも、設計から製造までアイコニックな価値観が共有されているからこそ、良いものが作れているのだと思います。ミニが好きな人が設計、製造、販売して、オーナーは楽しい時間を過ごしている。日本でこんなストーリーを持つ魅力的なブランドは、なかなか創れるものではない気がします。プロダクトやデザインを考えるにあたって、最高の教科書を手に入れたと思います」

文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

◆大人気企画「若者だってクルマ好き!」の連載一覧はこちら!

(ENGINE2025年1月号)

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