いつもよりオシャレをして、大切な人と素敵な場所に出かける──。そんなときに選びたいのが、ハレの日に相応しいとっておきの腕時計だ。シックで品のいい3針や貴石をちりばめた煌びやかなモデル、さらにはスポーティなクロノグラフから遊び心あふれる個性派まで、身に着けるだけで“ドレッシーな気分”が高まる、15ブランドのタイムピースをセレクト。
1950年代にフランス空軍に供給された、エイレンのフライバック・クロノグラフが現代に復刻。オールブラックの限定版に注目だ。
ENGINE時計委員の2025年のイチオシはこれ!
エイレン
タイプ20 Furtivite Limited Edition
フランスのエイレンは、1950年代にパイロット用フライバック・クロノグラフの厳格な規格“タイプ20“を満たす高性能モデルを仏軍に供給したサプライヤーのひとつ。2020年に復刻された現在の「タイプ 20」は、当時のモデルのデザインやスペックを徹底検証して生まれた由緒正しい復刻版だ。オリジナルに忠実なディテールや、現代技術で再現した手巻きのフライバック機能付きクロノグラフ・ムーブメントが愛好家を魅了する。“Furtivite”(ステルス)と称した限定モデルは、ブラックで精悍なイメージをさらに強調する。ステンレススティール、ケース直径39.5mm、50m防水。79万8600円。
時計好きこそ分かる!
菅原 茂
時計好きによる、時計好きのための時計。エイレン「タイプ20」とは何ぞやと問えば、こうなるだろう。フランスの伝説的航空時計メーカーの代表作を復活させた立役者は、熱烈な時計愛好家のトム・ヴァン・ウィジリックという人物だ。かのブレゲと同様に50年代から60年代にかけて仏軍に供給していた「タイプ20」の復刻だから、「おお、そうきたか!」と一気に興奮。当時の仕様を精査して、メカやデザインを限りなく忠実に再現したそうだが、自分を満足させる完璧なレプリカを作りたかったに違いない。分かります、その気持ち。この「タイプ20」のステルス版では、甦った名作の存在を黒で隠すというエスプリが冴え、「そうきたか!」と再び感嘆の声を上げた。
心が躍る復活劇
柴田 充
毎年圧倒的な数の新作時計が登場するけれど、それでもまだ日本未上陸の新進ブランドがある。エイレンもそのひとつ。1934年に創業し、1950年代にはフランス国防省が規定したパイロットクロノグラフ基準のタイプ20でブレゲと並ぶサプライヤーのひとつだった。高い技術と品質を備えていたが、クオーツショックで活動を休止。これに注目したのがオランダの時計愛好家だ。2014年のオークションで出会い、起業家だったことからからブランド復興に乗り出し、2020年に権利を取得した。永い眠りから覚めたクロノグラフも時計愛好家が手がけただけにオリジナルを損なわずモダニティを添える。細部へのこだわりもさることながら、その復活劇にも心が躍るのだ。
問い合わせ=ユーロパッション Tel.03-5295-0411
写真=宇田川 淳 スタイリング=小林尚史
(ENGINE2025年1月号)
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