2024.12.28

CARS

オープンカーは犬も猫も大好き! マツダ・ロードスターでオープンに目覚めたオーナーの愛車はアルファ・ロメオのスパイダー!!

アルファ・ロメオ・スパイダー・ヴェローチェとオーナーの岩田さん。

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木立のトンネルを抜けたところにある、三角屋根と白い壁の可愛らしいホテル。玄関を開ければ、おとなしく、人なつっこいゴールデン・レトリバーが出迎えてくれる。中庭に回れば、芝生の上には、日差しを浴びたアルファ・ロメオが輝いている。こんな素敵な場所の主に、このスパイダーとのなれそめを聞いてみたら……。

秋晴れとはいえ、もう冷たい空気も感じられる空のもと、幌を下ろしたアルファ・ロメオ・スパイダーは木漏れ日の中で輝いていた。それにしても、なんて気持ちのいいところだろう。このスパイダーの持ち主の岩田敏嗣さんと千佳子さん夫妻が営むフィンランドというホテルは、クルマ好きにとって、まさに天国のような場所だ。

岩田夫妻と愛犬ルーシーと、アルファ・スパイダー。

歳月は感じられるが、汚れひとつなく磨かれた雰囲気ある木造の建物。たくさんのクルマが並べられる、綺麗に刈られた芝生の中庭。同好の士が集まって愛車を眺めてのんびりするのに、こんな素敵な空間はそうそうないだろう。

周りには走り甲斐のある峠道がいくらでもあるし、千佳子さんお手製の地元の豊かな自然の恵みを活かした料理も絶品。英国車やミニ、ロードスターなど様々なクラブがここをミーティング会場にしているのもうなずける。ただ残念ながら現在は敏嗣さんの通院もあり千佳子さんだけでは手が足らず、基本、馴染みのお客さんのみ受け入れているそうだ。

岩田夫妻が営むウッディ・ホテル・フィンランドは女神湖近くの静かな森の中に。



見に行けば、連れて帰る

敏嗣さんはトライアンフTR3をはじめとする英国車やドイツ車など、多くのクルマを乗り継いできたひとだ。一時は7台を同時所有していたというから、そうとうな趣味人である。だが、歴代の愛車をほぼすべて記憶し、ころころとよく通る優しい声で、悪戦苦闘の日々を笑いながら話すのは千佳子さんのほうだ。

「彼は見に行くと、連れて帰ってきちゃうんです。その度にい・り・ま・せ・ん!っていうんですけどね」

彼女によれば敏嗣さんが連れて帰ったのはポルシェ911、ローバー、クラシック・ミニが数台ずつ。ヴァンデンプラ・プリンセスもいた。そして岩田家にはオープンカーも常に1台、時には2台いたそうだ。

普段は敏嗣さんも愛犬ルーシーも千佳子さんと一緒に乗るが、冬支度もありこの日は内外装からエンジン・ルームまで綺麗に磨き上げられた直後で「ルーシーは庭遊びして汚いから今はダメよ(笑)」と千佳子さん。


「最近までNA型のユーノス・ロードスターもいました。あとは4人乗りのモーガンとランボルギーニ」

NA型、という言葉がすぐに出るのはすごい。さすがにランボルギーニは何のモデルか思い出せなかったようだが「外したトップが座席の後ろにしまえました」と見せてくれた携帯電話の画像は、驚いたことに珍しいジャルパだった。しかも「ランボとモーガンはサイドブレーキが引き切れず、坂道発進が怖くて」とさらりというから2度ビックリ。どのクルマも敏嗣さんだけでなく、千佳子さんもハンドルを握ってきた。

とはいえ、乗る前には敏嗣さんの特訓があったそうだ。新しいクルマが来るたびに彼が横に乗り、操縦のこつを彼女に伝授。教習所みたいですね、というと、近所にちゃんとそのためのコースまであったらしい。



「2人で出かけると帰りは私が運転する時もあるし、クルマがたくさんあった頃は、バッテリーがあがらないよう、お散歩もする係だった」

いやはやこんな風に一緒にカーライフに付き添うパートナーがいてくれたら、どんなにうれしいことか。しかも今の愛車のスパイダーを買うよう敏嗣さんに薦めたのは、千佳子さんそのひとなのである。

出会いは約10年前。敏嗣さんが体調を崩し病院に通っている時、たまたま近くで売られているのを知り、彼女はひとり見に行ったそうだ。



「あまりに彼が元気がなくて、仏心が出ちゃったんです。もう一度一緒に“見に行くだけ”ならと……」

当然、見るだけでは収まらない。さすがにその場で連れて帰りはしなかったが、販売店からは「納車先は病院に?」と尋ねられたそうだ。

スパイダーの運転は千佳子さんの独学だそうだが、これまでの特訓のおかげもあって相性はバッチリ。最初の冬に徹底的に整備し、エンジンのOHをはじめ電気配線なども刷新。見違えるように元気になった。花見に行ったら故障して立ち往生したが、彼女は手慣れたもの。路肩へ押して、救助を待ったという。

本館の薪ストーブのあるサロンとログハウスの間の中庭は、クルマ好きの憩いの場。

「ロードスターでオープンカーに目覚めたの。大雪も降るからハードトップを付けていた時期もあるけど基本オープン。本当に身軽に走る。元気な子、って感じ。いっぽうスパイダーはぐっと大人の雰囲気なの」

ともに英国車より操作はずっと楽で、それでいてしっかり自然を感じられるところが良かったそうだ。

さて、いま岩田家はスパイダーと山暮らし用の国産車2台の態勢。敏嗣さんがまたクルマ、連れ帰ってきたらどうします?と尋ねてみた。

「犬や猫と一緒で、うちに来るのがさだめだったんだなぁって……」

フィンランドには現在ルーシーというゴールデン・レトリバーの女の子がいるが、彼女を含め歴代の犬も猫もみんなオープンカー好き。4匹の犬たちは一緒に乗ったし、3匹の猫たちは幌の上が指定席だった(ギャラリー内の写真参照)。

この様子なら、あと数台と数匹くらい、やって来るのかもしれない。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=岡村智明 協力=Finland

(ENGINE2025年1月号)

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