2025.02.03

CARS

インド生産で問題はないのか? スズキ・ジムニー・ノマドがインドで生産される理由と功罪

スズキ・ジムニーの5ドア・モデルに追加されたノマドは、インドで製造され日本に輸入されるモデルだ。スズキはなぜ日本ではなくインドで作ることを選んだのだろう。

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軽自動車規格のクルマ

ジムニーは言わずとしれた軽自動車規格のクルマだ。軽自動車はボディのサイズが全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下で、エンジンが660cc以下という日本独自の規格を持つ。いわゆるガラパゴス的なものなのだ。ジムニー・シエラは軽自動車のジムニーをベースに、エンジンこそ軽自動車規格を超える1.5リッターを搭載するが、ボディ・サイズに大きな違いはない。というか、オーバー・フェンダーの装着によって全幅が広がっている程度で、ボディ・パネル自体は軽のジムニーと同じだ。



どちらでも生産できた

現行型のジムニーとジムニー・シエラは世界各国で販売されるすべての車両を日本で製造していた。もちろん、生産効率などを鑑みてのことだろう。しかし、2021年からインドでジムニー・シエラの生産を開始したのだ。つまり、ノマドは日本でもインドでも生産することが可能だった。

一方で、インドの生産台数は200万台もあり、日本の100万台、ハンガリーの14万台と比べて断トツに多い。ノマドの日本での販売台数を考えると、日本とインドの2拠点で生産するのは非効率的だ。さらに、世界101カ国(今回の日本への導入がノマド101カ国目)に輸出することを踏まえると、インドをハブとするのは妥当と言えるのだ。



全車が湖西工場で検査

インドで生産されることでその品質に心配を抱く人もいるだろう。発表会のQ & Aでもそうした質問が出たが、当然のことながらスズキは完全否定した。そのうえで、輸送時などにキズや不具合が出る可能性は否定しなかった。インドより輸出された全車はスズキの湖西工場に陸揚げされ、全車が湖西工場で検査される。湖西工場はジムニーのマザー工場であるだけにPDI(納車前点検)作業については信頼度が高い。

ジムニー・ノマドの組立はインドであるが、ATユニットやトランスファーなどについては日本で製造されたものをインドに送っている。生産効率からいえばこれらも地元インドで調達できたほうがいいのだが、品質管理上しかたのないことだという。

また、ノマドに限らずインドで製造されたパーツを日本に輸入して使うこともあるのか? たずねてみたところ、ごく少数だがそうした例もあるという。しかし、インドでも人件費が高騰、輸送コストや関税などを考えるとメリットは減ってきているという。つまり相対的にみれば日本の生産コストが下がってきていることになり、製造業におけるパワーバランスの変化にはなんとも言えない気持ちとなった。



文=諸星陽一 写真=諸星陽一、編集部、スズキ

(ENGINE WEBオリジナル)

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